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香港M+で「坂本龍一 觀音・聽時」展 大型インスタレーション作品展示

「M+」の地下2階の展演空間で公開された坂本龍一さんと高谷史郎さんが共同制作した大型インスタレーション作品

「M+」の地下2階の展演空間で公開された坂本龍一さんと高谷史郎さんが共同制作した大型インスタレーション作品

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 坂本龍一さんと高谷史郎さんが共同制作した大型インスタレーション作品「async-immersion」(2023)が2月14日、香港の現代視覚文化博物館「M+」地下2階の展演空間で公開された。作曲家・プロデューサー・アーティストとして活躍した坂本さん(1952ー2023)の後世への貢献を讃えようと企画した回顧展「坂本龍一|觀音・聽時(音を視る 時を聴く)」 によるもの。

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 坂本さんは50年以上にわたり膨大かつ多様な作品を生み出してきた。そのため、各回顧展がどの作品を選び、どのように空間に合わせて場特定的に再構成するかによって、音楽家の異なる側面や創作の色彩が浮かび上がる。M+でも長年、坂本さんが長年探究してきた主題「音と時間」に焦点を当てた。

 「async-immersion」は、坂本さんが「最も個人的な音楽」と語ったアルバム「async」(2017)を基盤にした作品。坂本さんと高谷さんが共同制作した場特定型のインスタレーション作品で、坂本は、このアルバム「async」をきっかけに、同アルバムを「立体的に聴かせる」ことを意図し、Zakkubalan、アピチャッポン・ウィーラセタクン、高谷史郎らとインスタレーション作品を制作した。

 期間中、坂本さんの創作パートナーによる映像作品も上映するほか、体験を「さらに豊かなものにしよう」と、大階段なども使って坂本さんのレコード鑑賞会やM+シアターでの上映プログラムも開催する。

 音と映像が互いにずれながら展開し、観客を多重の時間軸へ誘うような仕掛けもある。高谷さんが坂本のピアノや書籍、スタジオのオブジェを映像化し、18メートルのLEDスクリーンに投影。生命の循環を暗示するような映像と音響が繰り返される。坂本さんの死後に完成したこの作品は、京都や東京で高い評価を得て、今回香港へ巡回することになった。

 展覧会では、メディア芸術の先駆者ナムジュン・パイクさんによる「All Star Video」(1984)も上映。若き坂本さんとニューヨークの芸術家たちの交流を記録した作品で、ローリー・アンダーソンやジョン・ケージらとの実験的な精神を映し出す。さらに、電子音楽家アルヴァ・ノト(カールステン・ニコライ)さんの最新映像作品「内外」(2024)、「眼内閃光」(2024)も公開し、坂本さんの遺作アルバム「12」(2023)の楽曲が響く。

 坂本さんは香港でも根強い人気を誇る。1980年代から映画音楽を通じて広く知られ、「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」の旋律は香港の映画ファンにも深い印象を残した。近年は香港芸術節での高谷さんとの共同作品「TIME」が話題となり、環境問題への発言や平和活動も共感を呼んだこともある。今回の展覧会は、香港の文化界における坂本さんの影響力を改めて示すものになるという。香港のレコードコレクターや音楽愛好家の間では、坂本さんのLPやサントラ盤が今も人気を集めている。

 期間中、坂本さんのレコードを聴く「黒膠唱片聆賞会」や、ドキュメンタリー映画「坂本龍一:CODA」(2017)、最後の演奏を記録した「OPUS」(2023)などを上映する「光影作樂」プログラムも行う。香港の音楽人やDJが坂本作品への思いを語る場も設ける。

 M+のSuhanya Raffel(スハニャ・ラッフェル)館長は「坂本龍一は当代随一の影響力を持つ芸術家であり、香港で彼の作品を紹介できることは大きな意義がある」と強調する。展覧会の共同キュレーターも「坂本の革新精神をたたえ、視覚芸術や映像、空間体験の広い文脈に位置づける」と話す。

 開館時間は10時~18時(金曜は22時まで)。月曜休館。観覧無料。7月5日まで。

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