香港の食文化を支えてきた料理の一つ「Raja麺」を60年代香港の雰囲気の中なかで提供する店「Raja街」が4月11日にオープンした。
オーソドックスな麺にラー油と紹興酒で漬けたサザエ「辣酒螺」を添えて
「Raja麺」のRajaには、「適当、汚い」という意味があり、魚肉団子、牛バラ、イカに豚の大腸、豚の血の塊、豚のレバーなど、その当時食材というよりも使い残しに近い部位を適当に使い回し、手押し車で売っていたことが名前の由来だった。
その後、食文化の進化とともにRaja麺も名前が変わり「車仔麺」と呼ばれるようになり、今やRaja麺のことを知らない人も多いという。「味も雰囲気も昔のRaja麺そのものを再現したい」という思いから、オーナー馮さんは深水ポー(シャムスイポー)に店を開いた。
店の前身は鶏と鴨を販売する肉屋だったため、古い看板やタイルなど、年代もののアイテムを店のインテリアとして使いながら、骨董(こっとう)店やのみの市で買ってきたアンティークを飾り、60年代の香港を再現している。
料理は、大衆の味「Raja麺」でありながら細部までこだわりを見せる。例えば、スープは鶏がらと魚の2種類からが選べ、鶏スープには手でちぎった鶏肉が入り、魚のスープは20キロ以上の新鮮な魚からだしを取っている。具は、Raja麺の定番ともいえる魚肉団子と豚の大腸のほか、ラー油や紹興酒で漬けたサザエ「辣酒螺」や自家製のたこ団子などもある。週末には1日350杯を売り上げる。
同店では、当時は限られた人しか食べることができなかった洋風デザートもメニューに並べる。ミシュラン1つ星レストランで修業を重ねたシェフが作ったスフレやナポレオンパイなども用意。60年代庶民の味を再現しつつも、同店シェフが得意でおいしいものは庶民の味でないものも一緒に提供する。
座席数は約40席。料金は麺1杯28香港ドルに6~10香港ドルの具を足していく。デザートは38香港ドル~。
営業時間は12時~翌1時(土曜・日曜・祝日は11時~)。
「深水ポー」のポーは土へんに歩。「Raja」のRaは口へんに拿とJaは口へんに査。