中環(Central)のフェリーふ頭すぐ南にあるハーバーフロントにある特設会場で3月23日、芸術の展示会「アートセントラル」(Central Habourfront9, Lung Wo Rd, Central)が開幕した。今年で2回目の開催。
「文化砂漠」とやゆされてきた香港だが、近年は精神的な面で豊かな生活を求める人が増えたといわれている。香港にはもともと西洋人を含めた富裕層も多く、長年香港のアートシーンを引っ張ってきていたが、そこに中流層などが加わるようになった。その代表格がワインと芸術で、ワインは香港政府が新しい産業を立ち上げるために政府が免税にした経緯があるが、芸術は民間主導の活力に満ちた動きになっている。
同展は、2012年まで開催されていた「Art Hong Kong」と同じ西洋人の発起人が新しく立ち上げた。同じ芸術のイベントで今年4回目を迎えた「アートバーゼル」と同時期に開き、その一部を共同でプロジェクトを実施することで相乗効果を狙う。
今年は世界21カ国・地域から100のギャラリーが集まり、その75%がアジアとその周辺という香港らしさが際立つ構成。参加アーティストの数は延べ500人に上る。Maree Di Pasqualeフェア・ディレクターは「ローカル、インターナショナル両方の芸術が集まるアートセントラルは、ロンドン、パリ、マイアミで行われているようなアートイベントと同様に、香港が世界の『芸術の目的地』としての役割を確立させるイベントになる」と自信をのぞかせる。
会場は、絵画や彫刻ドローイングやインスタレーションの「Central(藝壇萬象)」、過去6年間に発足した新鋭アーティストの作品の「Rise(新晋菁英)」という2つのセクションのほか、大型の前衛的な作品や伝統的な芸術に挑戦する作品が並ぶ「Project(装置匯萃)」が新たに加わった。
注目はIchiwan Noorさんの「Beetle Sphere」やThomas Cantoさんの「Suspended Landscape」、スワロフスキーの中華系イギリス人デザイナーElaine Ngさんによるスワロフスキーと電子器材、紡績品を使った作品の特別展示など。日本からは「アマナサルト」「KAMIYA ART」「Gallery OUT of PLACE」「彩鳳堂画廊」「春風洞」など多数のギャラリーが出展し、写真家の荒木経惟さんが1997年に中国返還直前の香港の様子を撮影した作品「香港キッス」なども鑑賞できる。
そのほか、亜洲協会香港中心(Asia Society Hong Kong Centre)主催の特別講座や研究・討論会が開かれるなどアカデミックなプログラムや、子ども向けのワークショップも企画されている。
会場では食事も充実。近くSOHOにオープンする予定のペルシャ料理にフランス料理のスタイルを加えたレストラン「BELON」、ビールやファストフード中心の「STREET FOOD @ Central 」、F1の公式シャンパンにもなったことのあるG.H.マムの「MEDIA X MUMM CHAMPAGNE BAR」、ウオツカで有名なアブソルートの「ABSOLUT ART BAR」という4つのダイニングを用意する。
開催時間は、23日・24日=12時~19時、25日=11時~19時、26日=11時~18時。入場料は大人=230香港ドル、学生=50ドル、12歳以下は入場無料。今月26日まで。