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香港のオフィスビル「The Center」、長江実業地産が中国工商銀行に売却へ

香港の景色を作る高層ビル群

香港の景色を作る高層ビル群

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 李嘉誠さんが主席を務める「長江実業地産」が8月23日、同社が権益の75%を占めるオフィスビル「中環中心(The Center)」を348億香港ドルで中国工商銀行(Industrial and Commercial Bank of China / ICBC)に売却することを決めた。

 The Centerは、1998年に完成した、高さ346メートル、73フロアのビル。商業エリアは10万平方フィート、グレードAのオフィス部分は140万平方フィートで、日系を含めた多くの外資系企業が入居している。周辺にはヒルサイド・エスカレーター、国際金融中心(IFC)、恒生銀行の本社ビルなどが近くある。

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 上から見ると正16角形をしており、ロビーは映画バットマンシリーズの「ダークナイト」で使われた。ガラスの天井をふんだんに使って自然光を多く取り入れ、小さな人工池がある。エレベーターの数は41基あり、ガラスで覆わた壁にネオン管も組み込まれていることから、夜になるとネオンが点灯し香港の夜景を彩る役目を果たしてきた。

 開発にあたり香港政府は香港市民が供用できる空間を作る事を義務付けており、クリスマスシーズンになるとビルの前で合唱団がクリスマスソングを歌ったりするほか、ビルもクリスマスツリーをあしらったネオンサインが浮かび上がる事でも有名な世界でも屈指の高層ビルとなっている。

 長江実業地産はThe Centerの75%の権益を保有しているが、2016年6月に200億ドルで売却先を探していた。人気の物件と言う事で売却価格が高騰し約3カ月で当初の売り出し価格より74%高い348億ドル、1平方フィートあたり2万8500ドルでの売却となった。

 ICBCは、建設銀行(China Construction Bank)、中国農業銀行(Agricultural Bank of China)など中国本土系の4大銀行の中で唯一香港内に自社物件を持っていなかった。ICBCは香港の本社として使用することを視野に入れている。

 長江実業地産の李澤鉅(Victor Li)副主席は以前から長江中心と和記大廈を除くビルは売却する可能性があると発言していたほか、グループ企業である長江基建集団(CKI)は中国の電力配送会社、国家電網と組んでオーストラリアのシドニーを中心に送電を手掛けるオースグリッドという電力会社に対し、99年間リースする権利の取得を提案。オースグリッド社株の50.4%を77億米ドルで取得するオーストラリア最大の民営化案件になると言われていたが、オーストラリア政府は安全保障上の観点から国益に対するリス言うがあるとし売却阻止する予備決定を下し、計画はとん挫していた。CKIは、中国本土企業とは違う香港企業であり国際的な企業運営では大きな実績を残している事から、CKIまで拒否されたことは驚きを与えた。

 近年、長江実業は大規模な組織改編を行ったほか、オーストラリアだけではなく、イギリスに多く投資もしているため記者会見を開くたびにメディアから「香港への投資を止める、縮小するのか」といの声があり、そのたびに李嘉誠主席が否定をしていたが、The Centerの売却により、香港への投資意欲についてあらためて質問を受けることになると見られている。

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