日本政府は、袁文英EGL Tours(東瀛遊旅行社)社長に外務大臣表彰を授与し、9月7日に在香港日本国総領事館で伝達式が執り行われた。
外務大臣表彰は、国際関係のさまざまな分野で活躍し、日本と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をした個人および団体に対し授与するもので、本年度は142人の個人および31の団体が表彰されている。
袁さんは日本と香港との友好親善および相互理解の促進に寄与した功績で表彰された。阪神淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)時などの際に、赤字覚悟で送客を早期に再開し、現在に至るまで被災地や観光関連業界の復興に尽力してきたことなどが表彰の理由。東日本大震災直後に同社および個人として義援金を被災地に自ら出向き届け、復興支援を行い、熊本地震の際も即座に寄付を発表。多くの自治体からの信頼も厚く、20団体以上の観光大使を担っている。
立場によって対応を変えることなく、目を見て話しを聞き、必ず個人の名前を呼ぶ。誰よりも深々と頭を下げ、隅々にまで気を配りながら時に冗談を言って場を和ませる。その姿勢は起業時から築き上げられたもので、顧客や取引先など、すべてのシチュエーションにサプライズを大切にし、日本の自治体や観光地に対しても愛情をもって時に厳しい言葉も放つ。
松田邦紀大使が読み上げる表彰状を前に緊張の面持ちを見せた袁さんは「感無量。会社のスタッフのサポートがあり、われわれの会社は日本のおかげで発足できた」と振り返った。
香港では約9割近くが個人旅行(FIT)客へと推移する中、同社も新たなビジネスとして大阪に350室のホテルを建設することにも触れた。沖縄、京都にもホテル建設の構想を持っているという。同ホテルには手入れをしやすいように通常の畳よりサイズが小さい琉球(りゅうきゅう)畳を採用し、その上にベッドを置く予定で、「日本の文化を守りながら、時代に合わせていく」とも。
香港では個人旅行(FIT)客が9割に迫る勢いを見せる中、同社は新しい需要の開拓にも積極的だ。2016年には340組のカップルが日本でウエディングを行い、ほぼ毎日式が挙げられている。「今後もマラソン、自転車、ハイキングなどユニークな企画を作り、ツアー客が減っても顧客を確保していきたい」と意気込む袁さん。「香港人は旅行で楽しくお金を使う。お金を使いに旅行に行く」と断言し、「今後は倍の力で努力をし、香港と日本をつなげていきたい」と笑顔で誓った。