香港鉄路(MTR)は12月19日、地下鉄南港島線の「東段」工事完了に伴い、オーシャンパーク(海洋公園)駅で記念式典を行った。
香港政府からは行政長官をはじめ関係者が集まった記念式典の様子
2011年5月に着工した南港島線は、金鐘(Admiralty)を発着点に、海洋公園(Ocean Park)、黄竹坑(Wong Chuk Hang)、利東(Lei Tung)、海怡半島(South Horizons)の計5駅・全長7キロを11分で結ぶ。海洋公園など一部の地上に駅を建設することでコストを削減した。1日あたり17万人の利用客を見込む。
建設に当たり、902工区は西松建設が12億8000万香港ドルで受注。そのほとんどは香港島北部と南部を結ぶトンネル工事で、同路線で最も難しい工事を担当した。同社は新路線に完全無人自動運転システム(Fully Automatic Operation(FAO)を導入。FAOはすでに欣澳駅(Sunny Bay)と香港ディズニーランドを結ぶ路線で使われている。
繁忙期には3分に1本の割合で運転する予定。金鐘と海洋公園は4分、金鐘と海怡半島で11分と所要時間が通勤ラッシュ時と比べると半分以下になる。尖沙咀(Tsim Sha Tsui)から海洋公園は12分で到達する。金鐘に乗り入れるため、黄竹坑から銅鑼湾(Causeway Bay)に向かう場合は2階建てバスやミニバスを使った方が早く到着すると見られる。
路線沿いの人口はそれほど多くないためコストパフォーマンスを重視。プラットホーム、駅舎をコンパクトにし3両編成で、今回のために新型列車も導入した。車両は幅2.8メートル、高さ2メートルで、座席の一部や、つり革を青色で統一したほか、天井のライトカバーも水を意識したデザインにした。
一番混み合う車両ドア近くのエリアの部分にある垂直の手すりはこれまで、1本の棒だけが立っていたが、中央部だけ3本に枝分かれしているような人間工学デザインにして、大勢の人が手すりをつかむことができるようにするなど、乗客の安全性にも配慮している。
FAOにしたため車両の先頭と最後部は運転手がおらず、先頭車両は開放感がある。環境への影響も意識し、鉄道高架部分の下はデッドスペースになりやすいが植樹などをして緑を多くした。
南港島線では今後、香港大学(HKU)、瑪麗医院(Queen Mary Hospital)、数碼港(Cyber Port)、華富(Wah Fu)、田湾(Tin Wan)、香港仔(Aberdeen)、黄竹坑を結ぶ「西段」も建設予定という。同路線は黄竹坑が発着点となるため、香港大学から南を回って金鐘まで乗り換えなしで行く事はできず、必ず黄竹坑で乗り換えをしなければならない上に、利東と海怡半島の住民は香港島南部の中心地、香港島に行くには黄竹坑で乗り換えがあるため、バス利用客も多いことが予想される。
金鐘駅を含む全5駅では12月24日、10時~14時に限り同駅舎やホームを一般開放する見学会を行う。供用開始は12月28日。