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九龍灣KITEC、閉鎖し再開発へ 日本アーティストの公演も多数開催

再開発のため、6月30日に閉鎖する複合施設「九龍湾国際展貿中心(KITEC)」©emax

再開発のため、6月30日に閉鎖する複合施設「九龍湾国際展貿中心(KITEC)」©emax

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 九龍灣(Kowloon Bay)にあるイベント、オフィス、小売りなどかな成る複合施設「九龍湾国際展貿中心(KITEC)」(1 Trademart Drive, Kowloon Bay, Kowloon, Hong Kong)が6月30日で閉鎖される。その後、6棟から成る複合ビルに建て替えられる計画だ。

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 黄色の外観が特徴的なKITECは1995年に落成し、13フロア、176万平方フィートを誇る。工場やオフィスが多いことから、東九龍地区における会議展覧中心(HKCEC)になることが期待されていた。従来のショッピングモールとは一線を画し、レジャーショッピングをコンセプトに設計。開業当時は香港で最も吹き抜けが高く、この部分は10階建てで、屋根までの高さは32メートル。アトリウム上部の幾何学的なガラスキャノピーは134枚のガラスで構成し、環境原則に沿った自然光を室内に採り入れるだけでなく、天井高が高く空が直接見えることで開放感などを特徴とした。

 KITECは、テスラ(Tesla)などのカーディーラーが店を構えるほか、HKCECや亜洲国際博覧館(AsiaWorld-Expo)のような有名アーティストが使う大規模なコンサート会場ではなく、中小規模のコンサート兼イベントホールがある点も特徴だった。

 ライブ会場「匯星(Star Hall)」の広さは3万平方フィートで、シアター形式であれば最大で3600人を収容できるほか、クラスルーム形式は最大で1450人、宴会形式は160人程度のイベントに対応してきた。これらに加え「Music Zone @ E-Max」は400~600人のライブハウスも備えていた。

 香港の歌手のみならず、ゆず、MONKEY MAJIK、中川翔子、MIYAVI、ORANGE RANGE、LISA、AAA、Alexandros、AKB48、SKE48、SUGIZO、INORAN、小嶋陽菜、鈴木このみ、細野晴臣、AI、酒井法子、ディーンフジオカなど数多くの日本人アーティストが、ここでコンサートを開いてきた実績がある。

 地上階は「九展名店倉Outlet(E-Max Warehouse)」と名付け、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)、リーバイス(Levi's)、D-Mopなどブランドのアウトレット店が入っているほか、4階には「E-Max家居中心(E-Max Home)」として香港を中心としたローカル家具店が入居している。E-Max全体を合わせると90万平方フィートと延べ床面積の半分以上を占めている。

 飲食ではスターバックス、マクドナルド、華御結、ケンタッキーフライドチキンなどチェーンが店を構えてきたほか、香港最大手のスーパーマーケットである百佳超級市場(PARKnSHOP)、セブン-イレブン、日本食材も多い小売店759阿信屋(759 Store)がある。加えて、地上波放送局のViuTVはオフィスとして7万平方フィート分を借りていたほか、上階はオフィスビルとして貸し出していた。

 KITEC最大の問題はアクセスだった。最寄り駅のMTR九龍灣駅(Kowloon Bay Station)から徒歩で20分近くかかるほか、KITECに向かうバスも決して路線数が多いとは言えなかった。そのため、オープン当初から空室率が高く、施設内は活気があまり感じられなかった。その結果、店舗の入れ替えも激しく、テナント募集の看板も目立った。

 かつてのオーナーは、香港の大手デベロッパーである合和実業(Hopewell)で、いろいろなてこ入れ策を行ったが経営状況が改善せず、2021年6月に億京発展及資本戦略(Billion Development and Project Management)などが結成した財団が100億香港ドルで買収していた。

 新しいオーナーとなった億京らはKITECの建て替えを計画。4棟16フロア、面積はKITECとほぼ同じ176万平方フィートのビル建設計画を香港政府に提出。香港政府も2023年3月に批准したが、その後、6棟、1881戸から成るマンション群に計画が変更されている。

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