
2025年香港経済新聞の上半期PV(ページビュー)ランキング1位に輝いたのは、今年からオクトパスが日本でも利用可能になることを伝えたニュースだった。新しい決済方法は香港でも増えたが、オクトパスカードへの信頼は揺るがない。オクトパスカードは1997年に発行を始め、現在までに2000万枚以上を発行。98%の香港市民が保有している。
香港で利用されているリアルなカードが使えるのではなく、あくまでもオクトパスカードをデジタル利用している場合に限るが、オクトパスのアプリを立ち上げ、店側が提供するQRコードをスキャンして支払いを行う。自動的に香港ドルに変換され、オクトパスの口座から引き落とされる仕組みで、日本からも注目が高いニュースとなった。
ランキングは、今年1月1日から6月30日までに配信したヘッドラインニュースのPVを集計したもの。上位10位のランキングは以下の通り(カッコ内は掲載日)。
1. 香港のオクトパスカード、日本でも利用可能に 最短で第3四半期から(3/7)
2. 香港映画「トワイライト・ウォリアーズ」、日本での興行収入が1億円突破(2/13)
3. 香港のかゆ・麺店の老舗「羅富記」が閉店へ 77年の歴史に幕 (1/26)
4. 香港の有名店「海皇粥店」が突如、全店閉鎖 33年の歴史に幕(5/16)
5. 香港でも「ちいかわ」旋風 第2弾発売にも行列、転売防止に合言葉も(4/17)
6. 香港でキャセイ特別機が低空飛行 啓徳開港100周年記念で(4/1)
7. 香港伝説の「ジャンボ」桟橋が再点灯 水上レストラン再開は未定(1/2)
8. メルカリ、香港市場でサービス提供開始 直接購入可能に(5/18)
9. 香港金像奨「トワイライト・ウォリアーズ」9冠 谷垣健治アクション監督も(4/30)
10. 香港ヤクルト、日本から輸入の「Y1000」販売開始 各店で売り切れ相次ぐ(3/12)
2位には香港映画「トワイライト・ウォリアーズ」、日本での興行収入が1億円突破したことを伝える記事がランクインした。ランキング対象期間外だが、昨年11月に掲載した撮影セットがAIRSIDEに移設するニュースも映画の興収突破と同時にほぼ同じ数のPVを数えた。6月には、旧九龍寨城跡地である九龍寨城公園では同作品のセットを復元した新しい展示も始まり、今後3年間にわたり無料で一般公開する。9位には、香港のアカデミー賞に当たる「第43回香港電影金像奨(Hong Kong Film Award)」で同作品が9冠を獲得した記事も。同作のアクション監督を務めた谷垣健治さんが最優秀アクション設計賞を受賞するなど、日本人も活躍している。
3位、4位には連続して香港の有名な粥(かゆ)店が閉店したニュースが続いた。「北上消費」の影響が高価格帯の飲食店だけでなく、「粥」という日常食にまで出てきているところは香港が現在苦しい立場にあることが分かる。6月24日には、アイス月餅を生み出したことで日本人にも認知度があるベーカリー「大班麺包西餅」が40年以上の歴史に幕を下ろした。
5位は、香港でも起きている「ちいかわ」旋風についての記事。本当のファンもいれば転売ヤーも多く、本土からの転売を防止のために、販売スタッフたちが広東語で「ちいかわ」に関する質問をするなどの工夫が繰り広げられたことも香港らしい一面。日本のコンテンツは変わらず人気が高い。
6位・7位は香港の観光名所にまつわるニュースがランクインした。かつての香港の玄関口だった啓德空港(Kai Tak Airport)の開港100周年を記念して、キャセイパシフィック航空の特別機CX8100が香港上空を低空飛行し、香港各地で多くの人が空を見上げ、遠い過去の空港に思いをはせた。7位は遠い海に沈んだ香港伝説の会場レストラン「ジャンボ」の桟橋が再点灯したニュース。再開時期は未定としていながらも水上レストランの復活に向けた動きが再スタートしていることに喜びの声も上がっている。
8位は香港にメルカリ進出の話題。現在の経済状況も背景に、香港には「セカンドストリート」や「おたからや」などが同じく上半期に香港で開業するなど、世相を反映した出店の動きもある。
10位には、香港ヤクルトが日本で販売する「Y1000」の香港での販売を始めた記事がランクインした。発売開始以降、各店ではすぐに完売となり、スーパーマーケットの店頭には売り切れを伝える表示が置かれていることも多い。
7月1日、香港は返還から28年を迎えた。香港ではコロナ以降に続く、香港居民が中国本土に旅行し、中国本土で消費を行う「北上消費」の波が続いている。広東省・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)の経済の一体化や依然と続く香港の物価の高さなどさまざまな理由が考えられ、香港の景気は低迷が続いている。
香港における日本関連の話題としては、直近では、日本で7月に地震が起きるといううわさから訪日香港人数が激減。特に地方便において夏ダイヤの欠航・停便が相次ぎ、夏の期間の訪日香港人数の減少は確実視されている。日本での1人当たりの消費額については1位である香港市場。2024年に日本を訪れた香港人は過去最高の268万3500人を記録するなど、年に何回も訪れる人気の高い渡航先となっていたこともあり、夏休み以降の訪日回復状況にも注目が集まる。
下半期も、香港で生活する人、香港とのビジネスをする人にも役立つ日々のニュースをいち早く伝えていきたい。