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香港の交通系ICカード、オクトパス、日本のPayPay加盟店で利用可能に

香港の交通系のICカード「八達通(Octopus)」は10月2日、日本のモバイル決済サービス「PayPay」との提携を発表した

香港の交通系のICカード「八達通(Octopus)」は10月2日、日本のモバイル決済サービス「PayPay」との提携を発表した

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 香港の交通系のICカード「八達通(Octopus)」は10月2日、日本のモバイル決済サービス「PayPay」との提携により、PayPay加盟店で利用できるようになったことを発表した。この電子決済技術を開発しているアメリカのTBCASoftも10月2日から日本で利用可能になると発表した。

オクトパスアプリでPaypayのQRコードをスキャンすることで決済が可能

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 オクトパスは1997年に発行を始め、現在までに2000万枚以上を発行。98%の香港市民が保有しており、人口750万人で割った場合、1人2.6枚を持っている計算になる。同社は、2025年3月に日本にあるいくつかの決済プラットフォーム企業と協議しており、最速で同年第3四半期から日本でも利用可能になると発表していたが、それを実現させた形だ。

 利用できるのはオクトパスのアプリユーザーで、オクトパスのカード保有者は不可であることは注意点となる。決済は店側に提示されているQRコードを自分のスマホでスキャンする場合と自分のスマホに表示されるバーコードまたはQRコードを店側の機械がスキャンする場合があるが、その両方に対応する。セルフレジも利用可能となる。

 使い方は、通常の電子決済と同じで、オクトパスのアプリを開いて、それに対応するボタンをタップし、QRコードなどを介して決済する。金額は日本円で表示され、その際、レートも併せて表示する。

 限度額は、1回の決済で最大3,000香港ドル、1日最大1万ドル。銀行口座やクレジットカードと連携することでリアルタイムにオクトパスの口座にチャージすることなどが可能な「八達通銀包Plus」と「八達通銀包Pro」の利用者の場合は、前者が1回当たり最大6,000香港ドル、1日最大6,000香港ドル、後者が1回当たり最大3万香港ドル、1日最大3万ドル。

 PayPayの加盟店は、レストラン、コンビニ、ドラッグストア、書店、スーパー、アパレル、ホテルなど幅広く利用できる。同社が2023年4月25日に発表したプレスリリースによると、登録箇所は410万カ所以上、利用可能箇所数は235万カ所。

 オクトパスは、中国の「銀聯(UnionPay)」、タイの「プロンプトペイ」、韓国の「ゼロペイ」と協定を結んでおり、香港の旅行者がオクトパスのアプリを利用できるようになっていたが、日本でも利用できるようになったのは訪日する香港人の多さが背景にある。

 日本政府観光局(JNTO)によると、2024年に日本を訪れた香港人は過去最高の268万3500人に達しており、日本は人気の高い渡航先である。香港内では、電子決済を巡る競争が激しいため、日本でも利用できるようにすることで、競合他社との差別化を図ろうとしていた。

 この夏は漫画家・たつき諒さんの作品『私が見た未来 完全版』の「2025年7月に本当の大災難が来る」という記述から、香港人が日本への渡航を控え、香港と日本の関係は現在、双方を結ぶ航空定期便が運休するなど大きな影響を与えているが、この提携が香港人観光客回復の起爆剤になる可能性がある。それだけに、オクトパスが日本最大級の電子決済ネットワークを誇るPayPay加盟店で利用できることで、香港人観光客が再び日本を訪れるようになるきっかけとなることに期待がかかる。

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