1919(大正8)年に東京で創業したお菓子材料・製パン材料を扱う食材専門店「富澤商店」が6月6日、尖沙咀シティスーパー内にコーナー展開の新店をオープンした。
販売面積20平方メートルの小さなスペースには、製パン、製菓材料や食材、調理器具に至るまで約500点の商品が所狭ましと並んでいる。 海藻から作られたゼリーの素「寒天ゼリーの素」(65香港ドル)や徳島産の和三盆糖(76香港ドル)など、日本国内で人気を呼ぶ商品をはじめ、パンやお菓子の生地に練り込んで焼くと溶ける「つぶジャム」(48香港ドル)や北海道産の小麦粉など、パン作り向けの材料を主力商品として販売。「日本市場とは違い、香港ではパンとケーキを作りが流行(はや)っているので、商品のセレクトも変えてみた」と4代目社長の富澤淳さん。
現在、上海をはじめ、成都、アモイなど中国に30店舗以上を展開する「富澤商店」。中国大陸に進出してから香港に店を開くのは、まれに見るパターンだ。「東南アジア、そしてヨーロッパを目指しているから香港に拠点を置く」とし、「シティスーパーには多くの外国人のお客さんが訪れるので、集客も見込める」と出店経緯を説明する。
年内にもオンラインショップを開始予定。オンラインショップでは、店舗より100種類多く販売する予定で、日本語、英語、中国語で展開するという。「まだ香港で知られていない商品がたくさんあるので、お客さまに食べていただければきっとその良さも分かるはず」と富澤さん。また、外食文化が根付いている香港市場に向け、10月ごろに新商品としてベーキングキットを発売する予定。「材料が全部そろっているセットがあれば、普段忙しい生活の中でも手作りの楽しさが体験できる」と香港市場への抱負を語る。
店内では毎日実演を行い、パンの焼き方をはじめ、普段香港ではなじみのない食材や和菓子の作り方を紹介する。
営業時間は日曜~木曜と祝日は10時~22時。金曜、土曜、祝前日は10時~22時30分。実演は日によって異なるが、土曜は15時から。