農林水産省が2月2日、2015 年の農林水産物・食品の輸出額の速報値を公表し、香港が11年連続で世界1位の輸出先となったことを発表した。
農林水産省の発表によると、輸出額は1,794億円(前年比33.5%増)、日本からの総輸出総額も対前年比21.8%増の7,452億円となり、その約4分の1を香港が占める。他の国・地域としては米国が1,070億円、台湾が952億円、中国本土が839億円、韓国が501億円と続く。農林水産物・食品の海外への輸出額は2012年から3年連続で増加しており、2012年の4,497億円から見ると、166%の伸びとなっている。政府が想定した2016年に7,000億円という中間目標額を1年前倒しで達成したことで、次の目標として掲げる2020年に1兆円という数字も前倒しの達成が視野に入ってきているようだ。輸出先上位10の全ての国・地域において前年比で増加している。「安全、安心な」日本ブランドがさまざまな品目で評価され、食品にも普及してきていることがわかる。
農林水産物の輸出額が急増する以前は、2011~2012年に震災時の原発事故で多くの国で日本からの輸入の規制が取られ伸び悩んだ背景がある。その後、規制が徐々に解除されてきたことや、日本政府が目標額達成のためにグローバルな食市場の獲得のために複数事業の予算を組んで後押ししていることもあり、伸びは順調だ。
香港への輸出品目での上位3品目は、1位が真珠で251億円。2位が乾燥ナマコで100億円。3位がたばこで100億円となっている。他の品目について見ると、日本酒が23億円(1位は米国の50億円)、コメが7億円(香港が1位)、リンゴが25億円(1位は台湾の99億円)、清涼飲料水が32億円(1位はアラブ首長国連邦の54億円)、米菓子を除く菓子が61億円(香港が1位)など。重要品目の中でのシェア1位はコメ、牛肉、花卉(切り花)、個別の品目ごとに見ると1位でないものも多いものの、アルコール(日本酒を除く)、清涼飲料水、菓子、しょうゆ、みそ、粉乳などをまとめた加工食品全般では464億円、ホタテ、サバ、ブリ、サケ、マスなど水産物全般で821億円と比重が大きく、合計で1位となる。
活発な売買が繰り広げられるジュエリーショーも定期的に開催され、日本からの各自治体・各企業の取り組みも積極化しスーパーやデパートでのフェアも毎週のように展開される中、香港内消費だけでなく、中国語で取引可能でかつ地理的にも隣接している中国・台湾への再輸出も多いという特徴を生かし、中国本土を始めマカオ、台湾、東南アジアなどへの中継拠点としての機能を果たす香港の役割は依然重要であるといえそうだ。