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香港・佐敦地区で「ミニロックダウン」 初のエリア指定で3000世帯超を検査

封鎖エリア内ではスピード感をもって検査が進められた

封鎖エリア内ではスピード感をもって検査が進められた

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 香港政府は1月23日から24日にかけて佐敦(Jordan)地区で「ミニロックダウン」を行い、初めてエリアを指定しての防疫措置を講じた。これまでもビル単位などでの強制検査を行ったことはあるが、今回は初のエリア指定での検査となった。

封鎖をしてロックダウンを実行する通知

 香港は25日現在、累計感染者数が10,159人、死亡者は171人、回復者9,056人。新規感染者は73人となっている。ミニロックダウンを行った理由は、1月1日から12日にかけて佐敦地区のビル56棟で162の新規感染者が発生したため。多くのビルの汚水の水質検査をするとコロナウイルスの存在が判明したことから、地域全体にウイルスが広がっていることを懸念。林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は「これは公衆衛生上のリスクではなく、環境汚染」とミニロックダウンを実施した理由を明かす。

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 香港政府が定めた、入境規制、情報開示、マスク着用などを定めた7つの条例(第599C章~第599I章)は2020年12月31日までが有効期限だったが、2021年3月31日まで延長。さらに当日には特定者への強制検査に関連する条例、第599J章について修正した官報を出した。第599J章は通称「禁足令」といわれ、強制検査対象者の移動を制限したり、全ての該当人が検査を受けたり、検査結果が確認されるまで、クラスターが発生している施設を封鎖したりするための法律だ。つまり、措置としては強制PCR検査または外出禁止、もしくはその両方となるが、外出禁止が出ればほぼ自動的に強制PCR検査が行われる。違反すれば最大で2万5,000香港ドルの罰金、禁固6カ月となる。

 香港政府は1月22日23時過ぎ、東は彌敦道(Nathan Road)、南は佐敦道(Jordan Road)、西は渡船街(Ferry Street)、北は甘肅街(Kansu Street)の4つの通りに囲まれたエリアを「佐敦指定区域(Jordan specified area)」に指定した。これまで建物ごとの強制検査は実施してきたが、区域で検査を受けさせるのは初めての措置。この辺りは約40の区画があるが、1月9日~22日の間に同エリアに2時間以上滞在した人も1月25日いっぱいで検査を受けなければならないとした。

 この時点ではまだミニロックダウンは行われなかったが、香港政府は実施するため臨時検査場用のテントを設置し、封鎖線の準備などをしていた。区域指定を出してから数時間後の1月23日朝4時、東は呉松街(Woosung Street)、南は南京街(Nanking Street)、西は炮台街(Battery Street)、北は同じく甘肅街を受限区域(Restricted area)として、ミニロックダウンを行う公告を正式に出した。封鎖線のテープを張ったり金属の柵が設けたりして、朝6時半から検査が始まった。

 同時に、東は廟街(Temple Street)、南は寧波街(Ning Po Street)、西は新填地街(Reclamation Street)、北は北海街(Pak Hoi Street)を核心区域(Core area)として、同エリアにあるビル約70棟は最重点箇所として強制検査を行った。

 禁足令の解除は、出勤が始まる1月25日朝6時までに終了することを目標し、警察、消防處、入境事務處、衞生署、社會福利署、食環署、房屋署、勞工處など16の部署から合わせて3000人を動員。この辺りは南アジア系の人が多く住むことから、政府はネパール語、ウルドゥー語、ヒンズー語を話す政府スタッフ50人も用意。エリア内には51の臨時検査場を設けた。

 政府は、ビルの掲示板などに実施予定時間の貼り紙を掲出。一軒一軒、住戸を訪れ、IDカードの確認、居住者の人数、検査站が書かれたカードを渡し、指定時間に指定検査場に行くよう指示。住人は当該時間・場所で検査を受けた。検査方法は口と鼻に綿棒を入れるスタイルだ。

 検査後、本人と検体の照合に使うための検体番号が書かれた腕輪を装着し、その後、食べ物など2日間の生活に必要なものテントで渡した。食料は、麺(パスタ、インスタントヌードルなど)=1万3000個、スープ(豚またチキン)=9100杯、フルーツ(オレンジなど)=1万5600個、ケーキ=9000個、豆乳=9000パック、缶詰=8000缶、パン=6500個などを準備。中身は福袋のように何が入っているのかは分からない状態だったという。マスク、消毒液なども渡したほか、ベビー用品など必要なものがあれば指定の番号に電話をすれば政府から支給されるよう手配。エリア内にはホテルもあり、政府はこちらにも大量の品を供給した。

 その後、自宅で待機させ、ショートメッセージで結果を送信する形をとったが、海外から入境者の強制隔離と全く同じシステムだ。検査が比較的スムーズにいったこと、検査途中の結果では新規感染者数も少ないことから、政府は24日夕方、陰性だった人は、スマホに送られてきた陰性証明と腕輪を見せるとロックダウンのエリアから出る許可も出た。

 24日22時には臨時検査場を閉鎖したほか、エリア内の飲食店など地域全体の消毒作業も実施。政府としてのアクションは1月25日0時に終了。午前3時21分に禁足令を解く公告を出し、ロックダウンが正式に終了。封鎖線を解除した。

 最終的には3650世帯7000人を検査し、13人が陽性だった。陽性率は0.18%と低かったが、政府としては当該住民への2回目の強制検査の実施も排除しないとした。政府によると473軒の家でドア越しの呼び掛けに反応が無かったが、その後110人を発見し、すぐ検査を受けさせたという。実際に公告が出るまでの数時間の間に先に家を出た人が一部いたことも指摘されている。

 この2日間を通じて、香港では、PCR検査の処理能力に心配がないことを証明した。一方で、周辺の店は営業できず大きな損失となったものの補償の話は現時点では出ていない。今後のミニロックダウン実施に向けての政府がどのように運用するのかが注目される。