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在香港アメリカ商工会が国安法について調査 4割弱が香港からの移転も考慮

在香港アメリカ商工会義所が調査レポートを発表

在香港アメリカ商工会義所が調査レポートを発表

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 在香港アメリカ商工会義所は8月13日、会員を対象に香港国家安全維持法についての調査レポートを発表した。7月1日から香港国家安全維持法(NSL)が施行されたことに関係して香港自治法(HKAA)が制定され、トランプ大統領は香港の優遇措置を停止する大統領令(香港の優遇措置停止についてはEO13936と呼ばれることが一般的)を発令したが、「HKAAやEO13936の影響で資本、スタッフ、オペレーションの移転を考えるか」という質問について、「いいえ」が64.29%だったものの、「中長期的に移転を考える」が31.17%、「短期的に移転を考える」が4.55%と法律施行1カ月少しで4割弱が何らかの措置を考えていることが明らかになった。

 同会議所は1968年の創立。会員数は1100社を超え、アメリカ国外にある各商工会の中でもトップクラスの規模を誇る。在香港日本人商工会を含め香港には世界中の商工会があるが、アクセンチュア、アメリカン航空、アメリカンエキスプレス、ボーイング、シティバンク、デル・コンピュータ、デロイト・トーシュ・トーマツ、エクソン・モービル、フェイスブック、フェデックス、ゴールドマン・サックス、グーグル、グランド・ハイアット、ディズニーランド、IBM、インテル、ジョンソン&ジョンソン、マイクロソフト、ムーディーズ、モルガン・スタンレー、ファイザー、クアルコム、ラルフローレン、アンダーアーマー、ウーバー、ユナイテッド航空、UPS、VISA、ワーナー・メディアなど世界経済をけん引する名だたる企業が会員として名を連ねている。

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 ほかにもアメリカとのビジネスとの関係からキャセイパシフィック航空、香港中文大学、中華電力、アドベンティスト病院、香港フィルハーモニー・オーケストラ、香港ラグビーユニオン、香港政府観光局(HKTB)、HSBC、蘭桂坊集団、モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)、ネスレ、PCCW、ヴェネチアン・マカオ、郵船ロジスティクス、JT Internationalなど、香港の有名企業・団体、日系企業も会員となっているのが特徴。

 ほぼ毎月何らかの調査を行っている同会議所。今回は8月7日~11日、会員を対象に行い13%に当たる154社から回答を得た。前述とほぼ似たような質問で「国家安全維持法の詳細が分かったことで、資本、スタッフ、オペレーションの移転を考えるか?」には「いいえ」=61.04%、「中長期的に考える」=32.47%、「短期的に考える」=6.49%という回答となった。

 「HKAAやEO13936がどの程度、各企業にインパクトを与えているか?」については、「インパクトが無い」=51.30%、「ネガティブな面がポジティブを上回る」=30.52%、「全てまたはほとんどがネガティブ」=13.64%などとなった。

 「HKAAやEO13936による制裁措置などによる懸念材料」(複数回答可)については、「香港におけるアメリカ企業の競争力が落ちることを懸念する企業」=55.84%、「特定セクターへの意図しない結果」=45.45%、「米国財務省外国資産管理局(OFAC)による制裁と国家安全維持法との間での摩擦」=34.42%などだった。

 「香港のビジネスの見通し」については、「悲観的」=43.51%、「短期的には悲観的、中長期的には楽観的」=31.82%、「楽観的」=14.29%、「短期的には楽観的、中長期的には悲観的」=10.39%と4割以上が後ろ向きの回答をしている。

 「国家安全維持法について、どの位懸念しているか?」には、「やや心配」=35.06%、「非常に心配」=33.77%と約7割を占めた。「心配し過ぎない程度」=20.13%、「全く心配していない」=11.04%だった。「国家安全維持法のより詳しい内容が分かったが、1カ月前と比較すると?」の項目には、「より心配になった」=44.16%、「以前と同じように多かれ少なかれ心配」=35.06%、「心配していない」=13.64%、「心配が減った」=7.14%となっている。

 最大の懸念事項ともいえる「法律のあいまいさ」については、「多くの点であいまい」=55.84%、「いくつかの点があいまい」=24.03%、「少しあいまい」=12.34%、「あいまいな点は無い」=7.79%と約80%が、どう法律が適用されるか分からないあいまいさを心配していることが明らかになった。

 「もし緊急時の対応計画を持っているまたは計画検討中の場合、何が要因か?」(複数回答可)という質問には、「新型コロナウイルス」=45.45%、「国家安全維持法」=37.01%、「米中貿易摩擦」=31.17%だった。「緊急時の対応計画を持っていない」も23.38%あった。

 「個人的に香港を離れることを考えているか?」という質問には、「いいえ」=46.75%、「中長期的に離れることを考えている」=44.16%と拮抗。ある種の迷いともいえる気持ちがあることが分かった。「短期のうちに離れることを考えている」は9.09%だった。

 香港にあるアメリカ企業の動向は香港に進出している外国企業の動向にも影響を与えるだけに、今後の調査結果も注目される。

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