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在香港日系企業を取り巻くビジネス環境調査 97%の企業が新型コロナ禍ウイルスの影響あり

さまざまな問題に直面する香港

さまざまな問題に直面する香港

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 在香港日本国総領事館、日本貿易振興機構(ジェトロ)香港事務所と香港日本人商工会議所は7月17日、「第4回香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査」についての結果を発表した。第2四半期(4~6月)の香港は、前期に引き続き大変厳しい経済環境が続いた。香港政府による水際対策措置の継続により、国境を越えた往来に制限が課せられ、営業活動などに大きな支障が生じ、香港への訪問客数の激しい落ち込みにより、小売・飲食業界を中心に未だ苦境から抜け出せない企業も少なくない。3~5月の失業率は5.9%と過去最低を記録し、5月の小売売上高も前年同月比32.8%減と景気回復への道は遠く、足踏みした状態が続いている。

 この調査は、米中関係の悪化や世界的な新型コロナウイルスの感染拡大による景気低迷、デモ・抗議活動、香港国家安全維持法の制定など、香港でのビジネス環境 が大きく変化する中、在香港の日系企業等の実態を把握し、取り得るべき対策を検討することを目的としたもので、7月2日~8日にインターネットを通じて行い304社から回答を得た。

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 業績動向としては、2020年4~6月の業績が前期と比較して「改善」と回答した企業の割合は増加し、22.6%(前期:8.8%)であった。「悪化」と回答した企業の割合は34.2%(前期:43.0%)、「大幅悪化」と回答した企業の割合は13.9%(前期:22.5%)と前期比で共に減少した。業種別に見ると、「悪化」または「大幅悪化」と回答した企業の割合が多かった業種はホテル・観光(100%)、精密および電気・電子機器(70%)、情報・通信およびメディア・広告 (62.4%)だった。前期比で「改善」と回答した企業の割合が顕著に増加(20ポイント以上)したのは運輸・倉庫(15.4%→40.8%)、飲食および小売り(11.1%→45.4%)。「改善した」と回答した企業(65社)は約半数が「香港市場での売上増加」、約3割が「中国本土への輸出拡大による売上増加」を挙げている。

 「新型コロナウイルス」「貿易摩擦など米中の対立」「中国の景気低迷」「デモ・抗議活動」など、さまざまな問題に直面する香港では、業績悪化への影響について、順位回答形式で「新型コロナウイルス」を1位挙げた企業は87.1%だったという。「米中対立」は5.8%、「中国の景気低迷」は5%、「デモ・抗議活動」は2.1%で、何よりも新型コロナウイルス肺炎による業績への影響が強く出ていることが読み取れる。

 現在の勤務体制については、約3割の企業が現在も「時差出勤、時短勤務、時短営業」を実施している。一方で現在も「在宅勤務」を実施している企業は約1割ある。「無給休暇の取得奨励」「事務所・店舗の休業」を実施している企業は、いずれもわずかだった。

 今回の新型コロナ肺炎以外に香港では、香港国家安全維持法への懸念が強まっていることが調査により浮き彫りになっている。約8割超の企業が香港国家安全維持法について「大いに懸念している」(32.7%)または「懸念している」(48.7%)と回答し、懸念の理由としては「情報に制限がかかる恐れがあるから」との回答が約7割と最も多い。

 今後の香港拠点の活用方針については、全体の35.1%が「これまでと変わらない」と回答しながらも、「今後検討する可能性あり」(22.2%)、「香港拠点の規模縮小」(9.6%)、「統括拠点としての機能の見直し」(3.6%)、「香港からの撤退」(1.3%)と、合計で36.7%の企業が何らかの対策を考えなければならないと感じているようだ。

 今回の結果は6月末までの状況をまとめたもので、7月以降の動向は加味していない。香港では7月に入り、この2週間で新型コロナウイルスの感染者が再び増加し、16日には新規感染者が1日で67人を記録した。復活の兆しを見せていた香港市場について、この感染拡大で域内には動揺が広がっている。6月30日に制定された「香港国家安全維持法」を巡る米中対立の悪化も、今後香港経済にどのような影響が及ぶか懸念されていることに加え、「香港国家安全維持法」が、今後どのように運用され、企業活動にどのような影響が及ぶのか多くの企業が憂慮している。

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