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香港観光の象徴・水上レストラン「ジャンボ」事実上、閉店へ 新型肺炎の影響が顕著に

香港を象徴する水上レストランが閉店へ

香港を象徴する水上レストランが閉店へ

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 香港島南部の黄竹坑(Wong Chuk Hang)にある水上レストランの「珍寶王國(Jumbo Kingdom)」が3月3日に閉店することが事実上決まった。逃亡犯条例改正案に始まったデモと新型肺炎の影響を受けて経営が厳しくなったことが原因と見られる。

 日本人には英語名で使われている「ジャンボ」という名前で知られている海鮮レストランで、ガイドブックには必ずと言っていいほど掲載され、観光客で訪れた人も多い。ド派手な外見とも相まって100万ドルの夜景とシンクロする一方、ゲートからレストランへは渡し舟で向かう演出、絢爛(けんらん)豪華な香港を象徴するレストランだった。店内には写真撮影用の中国皇帝の玉座があり、有料で衣装を着て撮影ができるなど、香港観光、結婚式、送別会など、香港の思い出を刻むことができる場所の一つだった。

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 香港の水上レストランの歴史は長い。香港では台風が近づいた時に高潮から船が非難するところを避風塘(Typhoon Shelter)と呼ぶが、そこに漁業を営む蛋民(水上生活者)が常駐するようになった。「スパイシークラブ」で有名な避風塘料理とは水上生活者が食べていた料理で、それをビジネスとして派生したのが水上レストランだ。

 1920年代には水上生活者がすでに水上レストランを経営し、最盛期には10もの水上レストランがあったといわれている。ジャンボは1952年、最大の水上レストランとして香港仔(Aberdeen)にオープンした。増築などを繰り返して規模がさらに大きくなったが、オーナーの王老吉さんは1,400万香港ドルと投じて総客席数2300席、4階建て、長さ250フィートの新しいレストラン建築を進めていた。ところが開業1カ月前の1971年10月に32人が死亡、42人がけがをする火災が発生。王さんはやむなくカジノ王の何鴻●(Stanley Ho)さんと4大デベロッパーの一つ、新世界発展(New World Development)の鄭裕●さんに経営権を売却。この2人は3,000万香港ドル投じてレストランの再建工事に取り掛かり1976年に再オープンを果たした始まりがある。

 その後は、香港仔の埋め立てに伴い1978年に現在の場所に移ったほか、1993年にはマカオで新濠天地(City of Dreams)や新濠影●(Studio City)といった統合型リゾート(IR)運営する新濠國際發展(Melco International Development)が4億3,500万香港ドルで86.68%の株式を取得し傘下に収めた。アジア金融危機を含めいくつの経営難を乗り越えてきたが、2019年6月からのデモで客足が遠のき始め、130人いた従業員は人員整理を行って60人とし、今年1月からは年中無休をやめ月曜定休としていた。営業時間も従来の11時~23時から、11時~14時と18時~22時に変更し、飲茶の数も約30種類から約10種類まで減るなどコスト削減に努めていた。しかし、1月後半の旧正月ごろから新型肺炎の影響で中国人観光客がさらに来なくなり経営が行き詰っていた。

●=火みっつに木。●=丹にさんづくり ●=さんずいに匯