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消えゆく香港の冰室、「中国冰室」が大晦日に廃業  数々の映画の舞台にも

歴史を感じさせる壁のタイルと定番メニュー

歴史を感じさせる壁のタイルと定番メニュー

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 映画「PTU」などの多くの映画の撮影にも使われた旺角(Mong Kok)にある冰室の一つ「中国冰室(China Cafe)」(G/F., 1077A Canton Road, Mong Kok, Hong Kong TEL 2392 7825)が12月31日で閉店する。同店は創業50年以上の老舗で、また一つ、歴史ある香港らしい店が無くなる。

閉店を前に入り口には行列が

 1964年に開業した同店。「冰室」は戦前から広州で発展したスムージーやアイスクリームなど冷たいものを提供する店のことで、それが香港でも発展した。昔は、エアコンどころか扇風機も無かったため、蒸し暑い広東省や香港で発展したのは当然のことだった。サービスはどんどん進化し、コーヒー、ミルクティー、サンドイッチなどを提供するようになり、日本風に言えば喫茶店のような感じになっていく。冰室は価格が安く気軽に入れることから香港人にとってのオアシス的存在で、同店は朝6時に開店し、テークアウト用のカウンターからパイナップルパン「菠蘿包」などのパンを買っていく客も多く、夜は19時に閉店する。

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 中国冰室は2階建てで、半吹き抜け構造になっており、上の階から下の階を見降ろすことができる。注文したものも、忙しく対応する店員が階段を上がり、時に客とも肩をぶつけながら活気ある店内が特徴だ。壁はモザイク調の、いろいろな種類や色のタイルが貼られているほか、大きな扇風機が天井に付けられていることで、レトロ感を醸し出していた。

 2001年に反町隆史さんとアンディ・ラウさんが共演した「フルタイム・キラー」、2003年のサイモン・ヤムさん主演の「PTU」などに使われたほか、香港のアカデミー賞である「金像奨」で6冠を達成したアニタ・ユンさん主演の「つきせぬ想い」(1993年)などにも登場する。2012年に閉店した土瓜湾(To Kwa Wan)にあった「白宮冰室」も同じく映画によく使われており、両店の閉店は香港映画ファンにとっての、聖地・観光スポットが無くなることも意味する。

 閉店理由については、「最近は売り上げが低調であること」「オーナーの加齢により毎日早く起きて仕事をするのが辛くなってきたこと」「後を継ぐ人がいないこと」だという。

 料理では、香港スタイルの氷あずき「紅豆冰」(23香港ドル)、カヤジャムのトーストの「?央多士」(11香港ドル)、フレンチトースト「西多士」、フライドチキンの「炸?脾」(以上24香港ドル)、 温泉卵と牛肉のご飯「窩蛋牛肉飯」(43香港ドル)などが人気メニューだという。

 12月31日をもって、太子(Prince Edward)にある順徳料理を提供するレストラン「鳳城酒家(Fung Shing Restaurant)」も店を閉じるほか、半山区(Mid-Levels)にありアフタヌーンティーなどを提供する「Tea Saloon by AnotherFineDay」も閉店することが決まっている。