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香港・中環に和食ダイニング「CENSU」 食器・音楽・デザインなどで五感を刺激

壁も床も家具にも日本要素をちりばめ、木を多く使ってまとめた店内

壁も床も家具にも日本要素をちりばめ、木を多く使ってまとめた店内

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 香港・中環NOHOエリアの歌賦街に7月15日、和食ダイニング「CENSU」(28-30 Gough Street, Central, Hong Kong TEL 2997 7009)がオープンした。同店は、「FUKURO」「Ho Lee Fook」「Belon」「Armani / Aqua」などで活躍したシェフ、佐藤峻さんが独立し指揮を執る40席のダイニング。

オーナーシェフの佐藤峻さん

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 木のぬくもりと香りに包まれた店内は、東京・渋谷の「TRUNK(HOTEL)」を設計した「Designed by JAMO associates / Design Direction by Shigenobu Yamaoka from TRUNK (HOTEL)」が、「佐藤シェフの祖母が住んでいた仙台の家にインスパイアされたインテリアに現代的なひねりを加えて完成させた」という。

 一本の木から作られ、磨き上げられていないウオールナットのテーブルをレストランの中心に置き、しっくいの壁が「シンプルな美しさと自然の魅力への憧れ」を表現している。床から天井までの空間には、天然パイン材の長いパネルを使い、天井には梁(はり)を設け、「日本の家にいるようなくつろぎの雰囲気」を醸し出す。路面店であることから窓からは通り行く人の動きも見える一方、視線の先には葉の茂った樹木が目に入る。

 BGMも、ハウスからインディーズ、ロック系まで、あらゆるジャンルの音楽をリミックスしたものを採用した。「ジャンルを縛らないことで、店内にいる客が曲に自分の思い出を重ね、心地良さを持ってくれることを考えてのこと」だという。店名は「言葉遊びのようなもの」だといい、日本語の「扇子」に、五感を表す「センス」も掛けて名付けた。

 「使うほどに磨かれ、昨日より明日の方が美しい精神」を大切にするという佐藤さん。その信念はテーブルにも、ロゴにも、料理にも共通し、「わびさび」の趣を感じ取れる時間と空間を提供」している。この影には、佐藤さんが影響を受けるメンターである美容師の存在もあり、「心地よい美しさ」を追求しているという。

 メニューは、佐藤さんの父親が作っていた懐かしい居酒屋料理と、佐藤さんが食の道に進んだきっかけとなったフレンチをベースに、和洋中華の食材や技法も取り入れる。メニューには、シンプルに食材の名前が書かれているだけで、プレゼンテーションにも驚きを添える。

 「イカの白キムチ」(148香港ドル)は、イカの刺し身にリンゴと大根で発酵させた白キムチを添え、イカそうめん風に仕上げた一品。「うにぎり」(238香港ドル)は、アワビのだしで炊いたおにぎりに新鮮なウニをトッピングしたリゾット風に仕上げている。

 「ズッキーニの花の天ぷら」(178香港ドル)も佐藤さんのハイライトの一つ。オランダ産ズッキーニの花を揚げ、クリーミーなホタテとエビのムースを詰め、シイタケとポートワインで作った繊細なトリュフのピューレを添えた。ほかにも旬の食材を使った創作和食のスペシャルメニューも登場する。

 料理を引き立てるプレミアム日本酒もメニューに並べた。日本の小さな醸造所で作られた「笑四季・マスターピース2020」は、「すっきりとした上品な味わいながらも、不完全な美しさやシンプルさを表現している」という。自然派ワインでは、カリフォルニア州セバストポール産の「2019 Melon Rodnick Farm Chalone」なども用意した。現在はリカーライセンス申請中。

 「例えば料理を提供した皿を買いたい人がいればほとんど買えるし、気に入ったインテリアがあればオーダーできるようにしたい」と話す佐藤さん。レストランという舞台をきっかけに国内外の人がつながるような場所を目指す。「これまでにも盆栽を置いてくれた人、写真を飾ってと頼んできた人がいたけど、いろいろな人が楽しんでくれる箱になればいいかな。その人が『僕の作品があってね』と話せるのもいい」とはにかむ佐藤さん。「食材や料理だけでなく、食器、音楽、ファッション、デザインなど、他にはない体験を提供するダイニングを目指したい」と肩の力は抜けた心地良さで熱い信念を語る。

 営業時間は18時~24時(22時以降はドリンクとつまみのみ提供)。

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