陳茂波(Paul Chan)財政長官は9月18日、新界(New Territories)北西部の元朗(Yuen Long)と屯門(Tuen Mun)の中間にある洪水橋(Hung Shui Kiu)と深●の前海を結ぶ鉄道計画について考慮していることを明らかにした。林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官が10月に予定している施政方針演説の中にも組み込まれる予定だ。
この計画は、香港の規劃署(Planning Department)と深●市規劃局が香港国際空港(HKIA)と深●寶安国際機場を結ぶ鉄道計画を共同で研究を進め、2007年に深●側が「深●市軌道交通規劃」として発表した。その後、香港政府が2014年9月に「鐵路発展策略2014(Railway Development Strategy 2014)」という包括的な鉄道の敷設計画を策定。その中に「港深西部快速軌道(Hong Kong Shenzhen Western Express Railway)という形で計画を盛り込んだ。
港深西部快速軌道は、(1)香港と深●の両空港を結ぶメインの路線、(2)前海と洪水橋の支線、(3)屯門南(Tuen Mun South)と北大嶼山(Northern Lantau)の小●灣(Siu Ho Wan)を結ぶ支線の合計3つの路線から成る。この計画が発表された当時は、まだ現実的ではないといして計画は棚上げされていた。
その後、粤港澳大湾区(Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area)構想が本格的に動き始め、このエリアの重要性が再認識されることになった。3つの路線のうち、まず前海と洪水橋をつなぐ路線の建設を再び前に進めることになった。国務院が前海地区について、当初の計画よりも8倍の土地の大きさで開発を進めることを盛り込んだことも棚上げされていたものを見直す理由の一つだ。
陳財政長官によると、鉄道の方が陸路を整備するより環境に優しく、輸送量が多く、かつ速いとした。政府によるとこの路線の敷設については、海を越えることから海底トンネルを掘る必要があり2013年の試算では1,100香港ドルの予算を組むことが必要になるだろうとしている。
屯馬線(Tuen Ma Line)は2021年6月27日に開通したが、その途中に洪水橋駅を建設する計画が進められている。屯馬線の洪水橋駅は現在のLRTの洪水橋駅よりも西側に建設される予定で、香港鉄路(MTR)が2018年に総工費を計算したところ41億香港ドルと見積もる。工期は2024年に起工し2030年に竣工で、2021年5月27日の行政会議でこの計画は批准された。前海とを結ぶ路線は屯馬線側の洪水橋駅に接続する方向だ。香港と中国の税関業務を1カ所で行う「一地両検」用の設備も必要になる可能性が出てきている。
香港政府は、大湾区構想を含め中国本土との経済一体化を進めており、この鉄道計画はそれを推進するための大きな力になるものと考えている。
●=土へんに川、●=虫へんに豪。