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香港と海外の往来、隔離短縮から検討か 優先課題は中国本土との往来

市中感染を抑え込み、香港内は規制は残るものの安心して暮らせる日々が続く

市中感染を抑え込み、香港内は規制は残るものの安心して暮らせる日々が続く

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 林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は10月26日、記者会見を行い、今後、水際対策で緩和する場合の香港と海外の往来について、ウィズコロナ政策が始まる場合は、中国本土を除き、隔離なしではなく隔離短縮からスタートすると話した。「A組指明地區(高風險)/Group A specified places (High-risk)」の国については緩和しないが、「B組指明地區(中風險)/Group B specified places (Medium-risk)」に属しワクチン接種が完了した者であれば「C組指明地區(低風險)/Group C specified places (Low-risk)」の防疫対策を適用し、強制隔離期間を14日から7日にするという考えもあることを示した。

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 香港は10月31日日現在、累計感染者数が1万2347人、死亡者は213人、回復者1万2284人。一方、ワクチン接種者については、1回目が461万7708人(68.6%)、2回目も終えた人は442万5315人(65.7%)となっている。11月1日現在で24日連続で市中感染ゼロが続いている。

 香港は、中国政府がゼロコロナ政策を推進していることもあり、「建立抗疫雙屏障」と呼ぶ政策でゼロコロナを推進している。香港政府の水際対策の優先課題は、中国本土との往来において「回港易(Return2hk)」と「来港易(Come2hk)」のみならず、香港居民の中国本土往来について隔離なしをいかに早く実現するかだ。

 そのため香港政府は、中国政府に香港の防疫対策を信用してもらうべく防疫対策の規制を強化し、領事館の関係者やビジネスマン、国際線の乗務員、政府関係者などが隔離なしで香港に入境できるという特例を撤廃するとした。一方で物資の輸送という生活に直結するトラック運転手はそのまま隔離なしとなった。それでも、本土との行き来が通常に戻るのは最速で来年2月ごろになるとの見方が出ている。

 欧米、シンガポール、タイなどでは、ウィズコロナに舵を切っており、ワクチン接種完了など一定の条件を満たせば隔離なしで国境を超えられるケースが増えている。そこで問題になるのが香港の国際金融センターとしての地位。アジア証券業金融市場協会(ASIFMA)は10月25日、「香港は入境制限が厳しく、国際金融センターとしての地位低下を招く可能性がある。会員の運営上48%はの問題から機能とスタッフを香港以外に移動させることを検討している」という書簡を陳茂波(Paul Chan)財政長官に送った。

 林鄭行政長官は「世界情勢が安定し、香港を訪れたい国があるとすればグループAの国については緩和しないが、グループBの国でワクチン接種が完了した人であればグループCを適用し、強制隔離を14日から7日にするといった考えがあるとした。ただし、今はそういう状況ではない」と述べている。中国政府は最低でも北京五輪終了まではゼロコロナを維持する方針であり、香港政府は中央政府がウィズコロナに転換しない限り、ウィズコロナ政策はうちだしたくても打ち出せない状況だ。

 翌10月27日、香港政府は現在行われている防疫措置について、10月28日~11月10日の2週間、延長すると発表した。内容に大きな変化はない。一方、一部の方策については厳しくする。まず、新型コロナ感染者が退院した後、北大嶼山醫院(North Lantau Hospital)にある香港感染控制中心(Hong Kong Infection Control Centre)に移動して14日間の隔離を行うこととなった。

 米ファイザー/独ビオンテック社が開発・製造するワクチン「復必泰(Comirnaty)」について、12~17歳は1回目の接種から14日を経過すれば接種完了と見なすこととした。それにより、グループAは、政府指定ホテルで21日間の強制検疫となり、入境後26日目に強制ウイルス検査をする。グループBは、政府指定ホテルで14日間の強制検疫で、16日目と19日目にウイルス検査を行う。グループCにおいては、政府指定ホテルで7日間の強制検疫と入境後9、12、16、19日目の4回、ウイルス検査を受けなければならない。

 マカオから香港への入境者の隔離が免除される「回港易」と「来港易」は11月2日から再開されることになった。

 一方、日本政府観光局(JNTO)は10月28日、日本のメディアを対象にしたメディアブリーフィングを東京で実施。「水際対策が緩和されたものの、もしワクチンパスポート・システムが依然として稼働している場合、日本の飲食店や博物館、テーマパークなどでワクチン接種証明の提示を求められた場合、海外の証明は有効なのか?」という質問に対し、蔵持京治理事は「政府がこれから決めていくことで、まだどうなるとは言えないが、状況を見ていきたい」と述べるにとどまった。

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