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水務署が昔の配水庫を巡るツアー 水に苦労した香港の歴史を探る

香港の水の歴史を探るツアーを開催(現在はコロナ措置により休止中)

香港の水の歴史を探るツアーを開催(現在はコロナ措置により休止中)

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 水務署(Water Supplies Department)が深水●(Sham Shui Po)にある貯水池を巡るツアー「前深水●配水庫導賞団(Guided Tour to Ex-Sham Shui Po Service Reservoir)」を企画し、香港市民の人気を集めている。現在は新型コロナ肺炎措置によりツアーを中止しているが、3月入場の個人受け付けを2月4日に始める。香港は歴史的に水の安定供給と格闘してきた歴史もあり、その一部を知ることができる施設だ。

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 天然資源に乏しい香港だが、水の確保にも苦労してきた。香港の近代の水供給の話についてはドラマ化もされた「香港の水」(木本正次著)で香港日本人社会でも知られている。世界的に発展してきた都市は、古代ローマも江戸も水の安定供給問題を克服したからこそ発展したともいえ、香港の都市としての発展も、いかに水の安定供給をするかにかかっていたといっても過言ではない。

 香港は長沙湾(Cheung Sha Wan)北部にある九龍水塘(Kowloon Reservoir)が1910年に完成する以前は地下水を利用して水を供給していた。その地下水を集める貯水池は、油麻地(Yau Ma Tei)や紅●(Hung Hom)にあったが、その貯水池の一つとして1904年に完成したのが「前深水?配水庫(Ex-Sham Shui Po Service Reservoir)」だ。

 深水●、油麻地、紅●の各貯水池から油麻地にある「油麻地抽水站(Yau Ma Tei Pumping Station/1895年完成)」に重力の力を使って一つに集められる。抽水站に集められた水は、今度はポンプを用いてきれいな水をためる「清水池(Clear Water Tank)」に送られ、そこから枝分かれして香港各地にある井に水が供給する仕組みとなっている。

 歴史的建造物1級に指定されている前深水●配水庫の完成時の貯水地の大きさは、直径が46メートル、高さは6.85メートル、容量は9900立方メートル。紅●の容量が420立方メートルであることから、いかに巨大な貯蔵施設であることが分かる。

 前深水●配水庫の場所は主教山(Bishop Hill)の下をくりぬく形で作られており、内部はギリシャのパルテノン神殿とまではいかないものの、柱が数多くあり、古代ギリシャの建築のような雰囲気で、香港のにぎわう中心地にあるとは思えない幻想的な空間になっている。柱に使われている花崗岩のブロックは、長さ約60センチ、幅約45センチ、高さ約30センチ。コンクリート製の高台を土台に、それぞれに寸法の花崗岩ブロックが14個乗って組み立てられている。

 ツアーのスケジュールは祝日を除く毎日開催。午前は10時~11時30分、午後は14時~15時30分の1日2回。ただし、土曜は15時30分~17時のツアーが加わる。土曜開催のみ、英語でのツアーを催行する。

 事前予約が必要で、本来は参加日の4日前にウェブサイトで予約する。場所はMTR石硤尾駅(Shek Kip Mei)駅から巴域街(Berwick Street)沿いにある聖方濟各英文小学(St. Francis of Assisi’s English Primary School)前に集合し、ツアー終了後の解散場所ともなる。

 参加無料。6月14日まで。

 深水●=土へんに歩。紅●=石へんに勘。

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