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香港の開発、「老鼠嶺」を新界北東部の中心地に

開発が予定される現在自然豊かな香港北部と、中国本土(深セン)の様子

開発が予定される現在自然豊かな香港北部と、中国本土(深セン)の様子

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 林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官が10月6日に行った施政方針演説の中でも取り上げられた「新界(New Territories)北部地域の開発」について、東側の中心地として老鼠嶺(Lo Shue Lin)が候補のひとつとしてあがっている。同開発はこのエリアに3つの中心地を造成するもので、250万人が住む一大エリア建設を狙う。同開発は90万戸、人口250万人は名古屋市の人口約230万人を上回る規模だ。

香港北部は広大な平野が続く

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 計画の推進には20年ほどかかるとしているが、「新界を西側の深●湾優質発展圏(Shenzhen Bay Quality Development Circle)」、落馬洲(Lok Ma Chau)や上水(Sheung Shui)の「港深緊密互動圏(Hong Kong-Shenzhen Close Interaction Circle)」、東側の「大鵬湾/印洲塘生態康楽旅遊圏(Mirs Bay/Yan Chau Tong Eco-recreation/tourism Circle)」の3つに分ける。

 この開発計画では「屯馬線(Tuen Ma Line)」の錦上路(Kam Sheung Road)と古洞(Kwu Tung)を結ぶ「北環線(Northern Link)」の建設を予定しているが、古洞から東にさらに延伸し、香園圍(Heung Yuen Wai)などを経由して粉嶺そばの安楽村(On Lok Tsuen)までを結ぶ。老鼠嶺はその延伸される路線沿いに建設される駅の一つとして計画している。

 老鼠嶺は周りを標高70メートルの山で囲まれた約50戸の小さな村で、一部の住民は農業などを営んでいる。深?とのボーダーに近いことから住民以外は自由に出入りができないところだったことから香港人にもあまり知られていないエリアだった。しかし、2016年から規制が緩和され出入りが自由にできるようになり、ハイキングのスポットとして人気を集めている。この近くにある週田村(Chow Tin Tsuen)は300年の歴史があり、明朝時代の墓がある。

 老鼠嶺で大規模な開発が行われそうな理由としては、周りに小さな山があるものの緑が豊かな土地があるほか、平野もあること。そして、ほとんどこの一帯が開発されていないため、住宅などに転用できるだけの広大な土地があるからだ。香港政府によると老鼠嶺エリアでは9500戸~1万1000戸の住宅供給が可能になると試算している。上水の北側にある華山村(Wa Shan Tsuen)も一連の開発計画に組み込まれており、6000戸~6500戸の住宅を造成する方向で、この2つを合わせると約1万7000戸分の住宅が建設されることになる。1棟当たりのマンションの高さは30フロア程度を見込み、天水圍(Tin Shui Wai)に似たような景観の街になるのではないかと推測されている。

 ●=土へんに川

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