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「香港アートフェスティバル」開幕 新型コロナ措置で制限、延期プログラムも

今年もリアルの開催については変更を余儀なくされている

今年もリアルの開催については変更を余儀なくされている

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 毎年恒例の「第50回香港藝術節(香港アートフェスティバル)」が2月22日、開幕した。節目となる50回目のイベントだが、オミクロン株の拡大で多くのプログラムを既に延期やキャンセルするなど、難しい状況下での開催となっている。

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 1973年に始まった同フェス。今年の開催期間は公式には2月22日~3月28日の35日間。現在の香港は芸術に対してかなり理解がある市場に成長したが、それは2010年代に入ってからともいえる。アートフェスティバルが、現在に至るまでの香港における芸術文化の土台を作ったといえる重要な役割を果たしてきた。

 演目数はリアル開催が前年の38から51に増加した。一方、新型コロナウイルス時代に合わせたオンラインプログラムは、前年の17から9に減少したが、合計60のプログラムを用意した。コロナ禍前は100以上あったことを踏まえるとやむを得ない状況だが、世界的に見ればウィズコロナへの議論や知見も集まったため、リアルイベントが増え、オンラインプログラムは減少して実施の予定だった。幸い、1つのプログラムが複数回上演されることから回数的には131回ある。

 2022年の予算規模は1億2,400万香港ドルで、スポンサーと寄付によるものが全体45%の5,580万香港ドルを占める。香港賽馬会慈善信託基金(HKJC Charities Trust)がメインスポンサー、中国工商銀行(亜洲)(ICBC)、フィンエア、グランドハイアットなども名を連ねている。チケット販売は16%の1,984万香港ドル、康楽及文化事務署(LCSD)を通じた補助金は21%の2,604万香港ドル、その他が18%の2,232万香港ドルなどとなっている。

 コロナ禍前の2019年は32会場で開催したが、今年は文化中心大劇院(Cultural Centre Grand Theatre)、大会堂音楽庁(City Hall Concert Hall)、MCL K11 Art House、西九龍文化区自由空間-大盒(WKCD Freespace The Box)など、密室の空間にいることによる感染拡大やクラスターを防ぐため8カ所に減少して予定していた。

 チケットはURBTIX各店、HK Ticketing各店、香港芸術学院(HKAPA)、インターネットで販売している。今回はオミクロン株による厳しい水際対策の影響で入境できないアーティストやスタッフが多数いることから、香港芭蕾舞團による「狂熱芭蕾(Romeo and Juliet)」、香港管弦樂團(Hong Kong Philharmonic Orchestra)が演奏する「馬勒第四交響曲(Mahler’s Symphony No.4)」、巴黎歌劇院芭蕾舞團(Paris Opera Ballet)による「羅密歐與茱麗葉(Romeo & Juliet)」など26の有料公演が延期などとなっており、返金手続きが可能なプログラムもある。

 今回の注目のプログラムは「中国国家京劇院(China National Peking Opera Company)」。アートフェスティバルでは5つの京劇作品を上演する予定だが、その中でも「覇王別姫(Farewell My Concubine)」に注目が集まる。これは、張国栄(レスリー・チャン)や鞏俐(コン・リー)が出演した映画「さらば、わが愛/覇王別姫」の劇場版で、映画ファンにも京劇ファンも見逃せないプログラムとなっている。

 ほかにも、「英皇口琴五重奏(King’s Harmonica Quintet)」は1987年に結成されたハーモニカの五重奏を行うアーティスト。モーツアルトやショスタコーヴィチの曲を演奏する予定。

 オンラインプログラムでは「機器超人(To Be A Machine)」が注目プログラムで、これはアイルランドの劇団の舞台を、ダブリンの劇場からライブ配信する。観客は劇場に「アップロード」され、アバターとして観劇する。死という永遠の難問に取り組む人類の試みについて、「示唆に富んだ時間を提供するプログラム」になっているという。生の演劇に創意工夫を凝らしたデジタル技術を活用する。

 オミクロン株の拡大により、リアル開催については厳しい判断が求められるが、主催者はギリギリまで状況を見極めながら進めていきたい考えだ。

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