暮らす・働く

香港政府のゼロコロナ政策破綻 病床のひっ迫で自宅隔離も認める

陽性者数が増え続ける香港

陽性者数が増え続ける香港

  • 26

  •  

 オミクロン株の感染拡大で、香港の病床がひっ迫しているため、香港政府は2月20日、自宅隔離を含めた新しい防疫対策を発表した。ほかにも隔離施設の拡張、陽性者専用タクシーとミニバスの運用開始、対面授業の延期などあらゆる手段を講じている。

[広告]

 香港は22日現在、検査による陽性反応を示した人は6万6574人、最終確定した累計感染者は2万8700人、死亡者は336人となっている。新規感染者は6211人、うち3人は海外からの輸入症例だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が584万8536人(86.8%)、2回目も終えた人は512万9080人(76.2%)となっている。3回目の接種回数は152万1190回だ。

 香港政府は経済的に結びつきの強い中国との往来を重視。中国政府のゼロコロナ政策「動態清零(Dynamic Zero Infection)」を香港政府も踏襲し、事実上のゼロコロナ政策を採用している。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の経験を生かし、デルタ株までは世界と比べて新型コロナウイルスの感染拡大を抑えていたが、感染力の高いオミクロン株の感染拡大を許してしまい、ゼロコロナ政策は破綻しているのが現状だ。

 ベッド数が足りない状況となり、公立病院の一部では駐車場にベッドを置いて患者を診なければいけない状況に陥った。そこで香港政府は、完成した粉嶺(Fanling)の郊外にある公営住宅、皇后山邨(Queen's Hill Estate)と●景(Lai King)●景邨(Lai King Estate)一部の用途替えを行い(計3000戸)、陽性者の隔離施設として利用する。また、政府は8~9軒のホテルを借り上げ、こちらも隔離施設にする。この中には●灣(Tsuen Wan)の●灣帝盛酒店(Dorsett Tsuen Wan,)、馬頭圍(Ma Tau Wai)の富薈馬頭圍酒店(iclub Ma Tau Wai Hotel)、北角(North Point)の富薈炮台山酒店(iclub Fortress Hill Hotel)など海外からの渡航してきた人向けの政府指定ホテルも含まれ、この公営住宅とホテルで1万部屋を提供する。さらに、竹?灣檢疫中心(Penny's Bay Quarantine Centre)の増築と旧啓徳空港(Kai Tak Airport)の跡地に新たな隔離兼治療施設を新築。両方合わせて1万戸で、施工は中国建築国際集団が担う。加えて啓徳のフェリーターミナルの一部を1000床分の隔離兼治療施設に改装する。

 それでもベッド数が足りないため、自宅での隔離を認め、隔離解除の規定を定めた。まず、無症状や軽症である場合、1人暮らしや自宅に高齢者や妊婦などリスクの高い人がいないケースは自宅での隔離療養を認められる。その場合、電子リストバンドや防疫に必要な物資が送られてくる。定期的に健康状態のリポートを送りながら、隔離生活を行うが隔離期間中は外出不可だ。電子リストバンドとアプリを駆使して外出していないかの確認を行う。新型コロナウイルス発生当初、海外からの渡航者が自宅隔離が認められたが、ほぼ同じシステムの復活となる。PCR検査を受けた日の翌日を1日目とし、14日目に受けた検査(抗原検査も含まれる)で陰性だった場合は隔離終了となる。14日目の検査で陽性だった場合、その後、毎日検査となり、陰性判定が時点で治癒とみなされ、隔離終了となる。

 ただし、政府としては無症状、軽症者であっても社区隔離施設(CIF)に送るのが基本方針。陽性判定となりCIFに送られた後、1人暮らしや自宅に高齢者や妊婦などリスクの高い人がいないケースは、7日目の検査が「陰性」だった場合、残り7日間は自宅隔離が認められる。その後は、同じようにリストバンドを着け、定期的にリポートをしながら残り7日の自宅隔離を行う。14日目に受けた検査で陰性だった場合は隔離終了。14日目の検査で陽性だった場合、陰性判定がでるまで毎日検査を行う。

 一方、7日目の検査が「陽性」だった場合はCIFでの隔離を継続し、14日目の検査で陰性であれば隔離終了。陽性であれば、陰性判定がでるまで毎日検査を行い、陰性が出た時点で自由の身となる。自宅に高齢者や妊婦などリスクの高い人がいる場合は、14日目までCIFで隔離となり、14日目以降のプロセスは自宅隔離者はCIFの人たちと全て同じだ。最初から入院の場合の隔離解除プロセスも、自宅の状況、7日目と14日目の検査。14日目が陽性であれば、陰性判定がでるまで毎日検査を行うという、こちらも同じように前述の流れと全く同じ。

 自宅隔離中などで健康状態が悪くなることを想定し、陽性者専用のタクシーと240台のバスまたはミニバスの運用を始める。バスの運行時間は8時~20時を予定。さらに22日、全ての学校において対面授業の再開を延期し、イースター休暇明けまで「夏季休暇」とすることを決定した。ほかにも現在の状況は香港の防疫能力を超えていることから、中国本土から移動型検査用車両2台、疫学専門家4人、テスト検査員110人が派遣された。公衆の集まりは最大で2人、2世帯以上がプライベートな空間で集まることも禁止、公共の場や公共交通機関でのマスク着用義務、飲食店の18時以降の店内飲食禁止、バー・パブ、アミューズメント施設(ゲームセンター、ビリヤード場などの措置は継続中となっている。

 ●=草かんむりに全、●=竹へんに高、●=草かんむりに刀が3つ。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース