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香港のオミクロン株、サービス業直撃 鳳城酒家が閉店、陸羽は休業へ

香港の乾物屋街でも半世紀以上の老舗が閉店をきめた

香港の乾物屋街でも半世紀以上の老舗が閉店をきめた

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 オミクロン株が香港のサービス産業に深刻な影響を与えている。有名中華料理店「鳳城酒家飲食集團 (Fung Shing Restaurant Group)が2月20日で上環(Sheung Wan)の総本店を閉店するほか、大手シネコンのCinema Cityは銅鑼湾(Causeway Bay)の翡翠明珠広場(Jade & Pearl Plaza)店の閉館を2月15日に閉館したと発表した。飲茶の老舗として知られている中環(Central)の陸羽茶室も2月12日により一時休業している。

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 香港は17日現在、累計感染者数が 1万9881人、死亡者は227人、16日の新規感染者は4285人だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が568万9465人、2回目も終えた人は504万2018人となっている。3回目の接種回数は133万3346回だ。

 アルファ株、デルタ株の感染拡大は世界と比べて抑え込んだ香港政府だが、感染力が高いオミクロン株については抑え込みに失敗。医療のひっ迫などが発生し日本がこれまでに経験してきたことが香港でも起きている。

 香港政府は、何とかオミクロン株の感染拡大を防ごうと、飲食業では18時以降の店内飲食禁止など厳しい措置を実施中。対面でのサービスを提供する産業の経営環境の悪化は深刻だ。

 広東料理の中でも特に順徳料理が食べられることで知られている「鳳城酒家飲食集團」は、経営が悪化し、2月20日に上環の総本店を閉店すると発表した。同店の銅鑼湾、九龍湾(Kowloon Bay)、●湾(Tsuen Wan)の3店舗もそれより先に閉店するとしている。同店は1954年に広東料理の店としてオープン。その後、2代目がレストランをリニューアルする形で現在に至る。

 明星海鮮酒家集團(Star Seafood Restaurant Group)は全14店舗のうち12店舗を暫定的に営業停止するとしたほか、海港飲食集團(Victoria Harbour Restaurant Group)も6つある支店を8日から一時休業すると発表した。さらには、飲茶の有名店として日本人にも知られている陸羽茶室とワゴン式の飲茶が食べられる旺角(Mong Kok)の倫敦大酒樓(London Restaurant)は2月12日から同じく一時休業している。傘下にさまざまな中華料理店を抱える富臨集團(Fulum Group)も傘下レストランの営業時間を7時30分~15時にすることを明らかにしている。

 昨年3月8日に映画館運営最大手の一つ「UA戲院(UA Cinemas)」が閉鎖されたが、同じシネコンの大手のCinema Cityは2月15日、銅鑼湾(Causeway Bay)の翡翠明珠広場店を契約満了と新型コロナの影響を理由に閉館すると発表した。これにより香港のシネコンは百老匯(Broadway Circuit)、嘉禾(Golden Harvest)、MCL Cinema、英皇戲院(Emperor Cinemas)などに減少。世界的に知られている香港の映画産業が危機に瀕している。

 ほかにも西營盤(Sai Ying Pun)にあり1971年創業と半世紀以上の歴史を誇る乾物店「同昌海味」も2月末で閉店すると2月8日に公表した。ナマコ、アワビ、ニンジン、黒豆、ナツメ、シイタケなどの乾物を販売してきた。閉店の理由として、オーナーから賃貸の契約を更新できない旨の通知を受けたとしている。乾物は香港内の中華料理店での使用に直結することから、レストラン、サプライヤーなど多くの業種でオミクロン株の影響があらわになってきた。

 ●=草かんむりに全。

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