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香港に上海料理「个園竹語」 幅広い技法で提供、日本人になじみのメニューも

「个園」を表現した内装に仕上げた店内の様子

「个園」を表現した内装に仕上げた店内の様子

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 尖沙咀のハーバーシティー内に1月5日、上海料理のファンダイニング「个園竹語」(Shop 3202, 3/F, Gateway Arcade, Harbour City, 25 Canton Road, Tsim Sha Tsui、TEL 2116 8328)がオープンした。

日本人にも人気のある東坡肉(トンポーロー)

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 江蘇省の中でも、蘇州には明の時代に造られた庭園が多くあるが、清の時代になると、揚州は塩の流通で富を築いたことで庭園の数が増えた。その後の戦乱などでその多くは消失したものの、「个園」は中国四大名園として現存する。これが同店の名前やコンセプトの由来となった。竹林に囲まれ外界の喧騒とは無縁の、静寂とした庭園として知られる。

 香港で多くの上海料理を手がけ、同店を率いる張貴寶総裁は「个園竹語のオープンは構想で言えば20年。元々は上海の出身だが、香港に住んで45年。シェフをはじめとする上海オリジナルの人脈を着実に積み上げてきた集大成としてようやくオープンできた。香港に上海料理で一番の店を作りたかった」と思いを込める。

 照明を効果的に使い、店内に落ち着いた空気が流れるよう工夫する。食器からインテリアまで、店内の至る所に竹のモチーフを使い、焼成れんがを積み上げた庭園と同じ印象に仕上げた壁には竹を描いた絵画を飾り、「竹のイメージにあふれる」ダイニングに仕上げた。同店は8室ずつの個室と半個室を備え、4人掛けテーブルも多くするなどしてビジネスシーンでも利用しやすくした。8000スクエアフィートに250席を設置する。

 江蘇省揚州市出身の萬方林料理長は30年以上の料理経験を持つ。1965年、東京にあるレストランで料理の道を歩み始めた。1986年に「上海總會」に移り、その後、中環の小南國、そしてシンガポールやマレーシアなどでも活躍し、上海料理、特に淮揚料理を伝えてきた。

 メニューには、小龍包をはじめとする上海料理の定番が並ぶ。素材の持ち味を生かした優しい味付けの料理が多い上海料理は、「他の中華料理と比べると甘さがある料理も多いので、日本人の口にあうジャンルだ」と張さんは話す。「東坡肉(トンポーロー)」(188香港ドル)や石焼鍋で提供する豆腐とカニの卵とキヌガサダケの煮込み「石鍋竹笙蟹粉燉豆腐」(168香港ドル)などが人気メニューだという。鍋は、自社で開発したオリジナルのものを使う。

 上海の食の哲学には、「良いものには時間と手間が掛かる」というものがあるが、上海料理の伝統的な調理法である煮る、蒸す、煮込む、じっくり煮るなどしながら、時間をかけて調理する。看板メニューの一つ、天然魚の塩焼き「野生海魚一夜情」(168香港ドル)は、まさにその典型。天然の魚を有機塩で味付けし、その塩の味を生かす。「一晩天日干しにしてから、蒸したり、焼いたりすることで、魚が持つ独特の有機的なうま味を保ちながら味と食感を引き立てる、ここでしか食べられない料理」と張さん。小籠包も蒸してから焼いた「鐵板上的小籠包」(80香港ドル)を用意するが、「蒸すことよりも、薄くパリッと焼き上げるところにシェフの技が光る」と解説する。

 ランチコースは3種類を用意する。「四喜●麩・糖醋小排骨」は、スペアリブ、木耳、ピーナツ、金針菜、シイタケの4種類の食材と一緒に甘辛く煮た麩を盛り合わせる。続く「龍井野生河蝦仁」は小エビを使った炒め物で、これも手間を掛けて料理する。魚を使ったあんかけスープ「宋嫂鮮魚羹」や、貝柱と卵白を混ぜ合わせた「瑤柱賽●蟹」、小さな白菜を使うふかひれスープ「翅湯浸●白菜」、小籠包に、春を告げるデザートともいわれるようかん「豌豆黄」の7品で248香港ドルのセットメニューとして提供する。ほかにも448香港ドルのセットメニューには、殻付きのエビチリ「乾燒大蝦」、アワビと豚バラの角煮「鮑魚紅焼肉」などを盛り込む。これに加え、4人用のランチメニューも用意した。

 営業時間は、ランチ=11時30分~15時30分、ディナー=18時~23時。現在は新型コロナ肺炎措置に準じて営業中。(現在の営業時間=11時30分~18時、テークアウト=~20時)

 ●=火へんに考、●=虫へんに旁、●=月へんに念。

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