香港中環にモダンイタリア料理を提供する「Testina」(3/F, 8 Lyndhurst Terrace, Central, Tel: 2798 0668)が2月、香港にソフトオープンした。同店は、イタリアにある「Trippa Milano」とコラボした新しいモダンなトラットリアをコンセプトを据える。ヘッドシェフのディエゴ・ロッシ(Diego Rossi)さんとパートナーのピエトロ・カロー(Pietro Caroli)さんが共同設立したトリッパは2015年6月、ミラノにオープン。以来、市内で最も注目される店の一つとして現地の日本人にも人気があるという。経営はZS Hospitality Groupが手掛ける。
壁には黄色を使い、イタリアの「トラットリア」をイメージしたカジュアルな印象の店内
同グループのエリザベス・チュー(Elizabeth Chu)会長は「私たちは、成長し続ける香港のダイニングシーンとイタリア料理に新しい風を吹き込み、革新的でオリジナルなコンセプトを提供するという基本理念を守り続けたい」と意気込む。同グループは、同ビルにこのほか2店舗のオープンを予定する。
今年に入り、新しく改装した8 Lyndhurst Terraceの3階に位置する「Testina」の店内にレトロなインテリアを置き、マスタードイエローの壁、オリーブグリーンの椅子などの家具、イタリアの伝統的な手法で作られた「パラディアーナ」の床などを展開。「1970年代のミラノのトラットリアにオマージュを捧げた」という。
イタリア語で「頭」、「てっぺん」などを意味するTestinaの店名は、内臓や希少部位など動物のあらゆる部位を活用し、見落とされている食材やあまり知られていない食材を料理に生かすというトリッパの料理哲学を反映してもの。メニューは、代々受け継がれてきた伝統的なレシピをベースに、独自のスタイルとアプローチでリニューアルしている。
本場イタリアの料理ビジョンを香港で形にするのは、エグゼクティブシェフのマルコ・ショード (Marco Xodo)シェフで、以前、ミシュランで2つ星を獲得した「8½ Otto e Mezzo BOMBANA Shanghai」で料理長を務めていた。ヨーロッパ、中東、アジアの一流イタリア料理店で20年近い経験を積んだマルコシェフは、職人技と創造力を駆使し、香港の地元とイタリアから届く新鮮な食材を使う。
トリッパのフライ「トリッパ・フリッタ」(198香港ドル)は、「食事の始まりにふさわしい」という、サクサクしたアンティパスト(前菜)。イタリア南西部のモントーロ産の玉ネギをオリーブオイルと塩でローストし、甘い香りを引き立てた「ローストオニオン」(168香港ドル)に、シシリアンケッパーとドライトマトをトッピングしたベネチアへの旅に誘うようにイメージしたという、タラの料理「Baccala Mantecato」(188香港ドル)は滑らかで軽く、ふわふわのタラに赤ピーマンをトッピングし、スライスしたパンに塗り、トレンティーノ州ストーロ産のトウモロコシの粉から作ったピュレ状の粥(かゆ)のようなポレンタと一緒に提供する。
ラムのラグーを使うイタリアのトスカーナ州でよく食べられる平打ちで自家製のパスタ麺「パッパルデッレ」は、ワインで煮込んだラムの肩肉を使い、仕上げにクミンとミントの香り、熟成ペコリーノをたっぷり振りかけ「香り豊か」に仕上げる。炭火を使って、塩、黒こしょう、ローズマリーで味付けしたしっとりさせた「ローストボーンマロー(牛骨髄)」(188香港ドル)は、トーストしたサワードウとミックスハーブサラダを一緒に提供する。デザートは、爽やかな甘さの「季節のベリーのタルト」に、ピエモンテのデザートとして知られ、卵黄を湯煎にかけて作るお酒が利いたクリーム「ザバイオーネ」を添えた。メニューはアラカルトとデグスタツィオーネ(おまかせ)メニュー(688香港ドル)を用意する。
個性的な味わいの料理に合わせるイタリアワインも用意するが、その2割を「農薬や化学肥料を使わず自然に働きかけ、土地が本来備えている力を引き出して作る特徴を持つ」という有機農法のブドウで造った「バイオダイナミックワイン」でそろえた。
営業時間は18時~23時(日曜はランチ=12時~15時も営業)。月曜定休。現在は、新型コロナ肺炎措置に準じて営業中で、営業時間は12時~18時。