香港政府は1月19日、新型コロナウイルスについての新しい考え方を示し、これまで新型コロナの陽性者には5日以上の隔離を発令していたが、1月30日により撤廃すると発表した。併せてマスク着用義務については3月末までに廃止させる方針だ。日本でも新型コロナの分類を2類相当から5類にする方向で進んでいるが、香港では一足早く、新たなコロナ対策に踏み出した。
香港は23日現在、検査による陽性反応を示した人は285万8054人、最終確定した累計感染者は53万1034人、死亡者は1万3118人となっている。新規感染者は2737人、うち5人は海外からの輸入症例。一方、ワクチン接種者については、1回目が691万2150人(94.6%)、2回目を終えた人は679万2370人(93.1%)、3回目も終えた人は582万7542人(83.6%)、4回目が101万9939回となっている。
新型コロナウイルスに対する防疫対策は丸3年を経過したが、オミクロン株が主流になったことに加え、ワクチンを3回接種した人が95%に達したため感染しても重症化しにくくなったこと、既に感染した人も多いためハイブリッド免疫が形成されていることなどから、新型コロナを風邪の一種と捉える形に方向転換した。香港の医療体制も整い、3年間で新型コロナについての知見も蓄積されたことから、社会や経済を元に戻すことが理にかなっていると判断した。
これまでは新型コロナの陽性だった場合、5日以上の隔離命令が下されていたが、1月30日より廃止する。陽性であれば専用サイトから報告する必要があったが、それが不要になったほか、サイトや電話による自動登記システムも同日より停止する。これにより陽性者に配給されていた必要物資の提供も停止する。
これにより、政府は陽性でも無症状であれば出勤するのは構わないとした。ただし、陽性者には、KN95のような高性能マスクの着用、パーティーなどへの参加を控えるよう要請したほか、無症状の陽性者は公立病院や一般の外来に行かないよう求めた。児童・学生は抗原検査で陰性となるまでは通学しないよう求めた。ただし、陽性者が住環境など関係から、隔離施設に入居したい場合、政府が用意している隔離施設で最大7日間隔離することも可能で、抗原検査で陰性であれば施設から出ることもできる。
これらの措置により、仮に日本から香港の渡航する際に感染していても、香港では風邪扱いとなるため隔離を求めない。ビジネス・観光による往来が、よりしやすくなる。
香港政府は翌20日、マスク着用義務を微調整し、以下の場合においてはマスクをする必要がないと発表した。1月26日から適用される。具体的には、礼拝所などで司祭などが参加者に向かって話す際、公共の場所でのイベントや展示会、展示ブースでの飲食をするとき、ケータリング施設または事前にイベントが計画されている施設においてイベント中のステージでの祝杯を挙げるときの3点となる。
醫務衞生局(Health Bureau)の盧寵茂局長はマスク着用義務について、冬場は感染拡大がしやすい時期であることから3月末をめどに取り消したい考えを示した。