フランスの文化や芸術を知ってもらうため5月に多彩なプログラムを展開し、今年で30周年を迎える「ル・フレンチ・メイ(Le French May)」が現在、香港各地で行われている。香港ではイベント規制やマスク着用義務もなくなるなど、従来通りのイベントとして復活した。
同イベントは1993年に始まったが、主催する法國文化推廣弁公室(Association Culturelle France)は観衆についてのデータを公表。それによると、男女比は42:58で、30~49歳が全体の56%を占めているという。
5月開催の理由は、フランス人にとって5月は第2次世界大戦の戦勝記念日などがある重要な月であるため。開催期間は、5月を基本とするものの毎年規模が拡大し、4月下旬から6月までに行われるイベントが登録されるなど、数カ月にわたって100以上の演目を開催してきた。30周年を迎えた今年は、パブロ・ピカソがガラスの上に描いた絵を8月27日まで香港大学と置地広場(Landmark)に展示するなど、規模を拡大している。
日本も毎年秋に「日本秋祭 in 香港」を開いているほか、世界各国が自国をアピールするイベントを開いているが、「ル・フレンチ・メイ」が質・量ともに際立っており、各国のベンチマークともいえるイベントになっている。その理由の一つにスポンサーが挙げられる。これまでも、エルメスなどのフランス企業のほか、ファンケル、ザ・ペニンシュラなどのフランス以外の有名企業も名を連ねていた。30周年である今年は、ソシエテジェネラル、エル、フィガロ、元創方(PMQ)、M+、大館(Tai Kuwn)などが加わっている。
その結果、プログラムは昨年までは「映画」「教育」など6種類だったが、今年からは「文化・ライフスタイル」「モダン&コンテンポラリー・アート」など12種類に倍増した。
具体的なプログラムの一つ「百樣玲瓏――●地亞與女性(CARTIER AND WOMEN)」は、西九龍の故宮文化博物館で行われるもので、題名の通りカルティエと女性がテーマ。19世紀以降のカルティエが制作したジュエリー、時計など300点余りを展示するほか、中国の芸術がカルティエのデザインに与えた影響も解説する。文化博物館ではベルサイユ宮殿を知ることができる展示も行われている。
有名ファッションブランド、アニエス・ベーについての写真展「與agines b.歌頌法國時裝與攝影(FASHION AND PHOTOGRAPHY WITH agnes b.)」のほか、ユニークなところでは「烽煙下的文化遺産(HERITAGE IN TIMES OF WAR)」がある。これは、世界各地で紛争が起こり世界遺産が破壊されるケースが出ていている状況をCGなどを使って展示するイベントで、フランス人考古学者が説明する。
モダン&コンテンポラリー・アートでは、ピカソの作品展のほか、「流光之城(URBAN POP ODYSSEY)」と題して、人々の生活と都市環境が抱える矛盾をフランス人画家が絵で表現した展示会を実施。フランス映画は、シネコンの百老匯電影院線(Broadway Cinema Circuit)が随時、フランス映画を上映する予定。音楽では「リア王」を弦楽4重奏で行うコンサートを開くほか、ピアニストのジャン=エフラム・バヴゼによるリサイタルも行われる。「法蘭西香港(LES FRANCAIS A HONG KONG)」は、香港におけるフランス人コミュニティーがどのような歴史をたどってきたかを表現する朗読劇もある。
食の分野では「法國五月美食薈(French Gourmay)」は従来通り開催。フランスならではのグルメが楽しめるほか、今年は特にシャンパン、スパークリングワインにフォーカスする。
チケットはプログラムごとに設定。4~6枚まとめて買えば5%引き、7枚以上であれば10%引きなどの割引も用意。URBTIX、百老匯院線(Broadway Circuit)、art-mateなどで販売する。
●=上かんむりに下。