香港は9月7日深夜から8日にかけて、約140年前の1884年以来の記録的な集中豪雨により機能不全に陥った。
これは台風11号(ハイクイ)から変わった熱帯低気圧の影響で、最高レベルの「黒色」暴雨警報が発令された。1週間前は台風9号(サオラ―)の影響により、5年ぶりのシグナル10が発令されるまでの台風被害に見舞われたばかりのところに再び悪夢が押し寄せた。23時から0時までの1時間降水量は158.1ミリを記録し、「黒雨」が発令された時間は16時間35分となり、最高記録を更新した。
8日、香港内の学校は休校となり、香港証券取引所は8日の取引を中止し、多くの企業で自宅待機措置が取られた。警報は15時40分に「黄色」にまで引き下げられ、16時45分に全ての警報を解除した。香港政府によると、9日現在2人が死亡、132人余りが病院で手当てを受けている。
7日夜の降雨開始からあっという間に雨量が増え、23時5分に「黒雨」に変わったときには既に香港島灣仔辺りでも、場所によってはくるぶしから膝くらいまでの雨に浸かった箇所もあった。最も大きな被害の動画が拡散されていたエリアの一つ、香港島東の柴灣では、環翠道で警報発令直後鉄砲水が発生し、翡翠道方面に向けて激しく流れた。冠水した現場には石やアスファルトの破片、木の枝なども散乱していたという。道路脇には多くの自家用車やタクシーが放置され、水深は1メートル以上、車の屋根の部分まで浸かるほどであった場所もある。同じく香港島の●箕灣付近の雨も深刻で、トラムが走行不能となり、走行中のバスのトランクに突然雨水が流れ込んだ車両もあったとみられる。10日現在、一部の街灯などがまだ復旧していない場所も見られた。
特に駅で一番大きな被害が出たのは觀塘線黄大仙駅。龍翔道から多くの雨が駅に流れ込み、駅直結のショッピングモール「黄大仙中心」では、北館のグランドフロアの天井近くにまで多くの木の枝、葉や泥が混ざった濁流が流れ込み、続く黄大仙寺院への通路なども水があふれた。ポンプ車などが水を抜く作業を行うなどスムーズな復旧作業により、9日5時57分の始発から運航を再開した。
新界エリアでは、大塘湖村、●洞村、塘肚村、鹿頸路口、擔水坑村など北のエリアの一部で冠水し、多くの車両が通行不能となったほか、香港島の石澳でも住民が取り残され、避難を必要としている約200人の住民が船を使って香港島の北角まで移動した。9日夜までには、1車線を軽車両用に再開している。ほかにも香港島南側のレッドヒルペニンシュラ (紅山半島) に立つ海沿いの戸建てで地滑りが起き、住宅の基礎が張り出し調査が行われている。
バスを運行するKMB社は9日、迂回が必要なN118、N271、NA47路線を除き、深夜と夜間路線は通常運行を再開した。8日23時現在、11路線は道路状況により運休中し、7路線は迂回が必要である。道路状況を引き続き調査し、道路状況が可能になり次第、運行を再開する。
教育局はこれまでに浸水、漏電、施設の破損など既に20件以上の被害報告が寄せられていることから、各学校ごとに11日まで対面授業や校内の活動の停止を決定し、できるだけ保護者や生徒に早く知らせるように通知した。
●=竹かんむりに悄のつくり、●=草かんむりに来