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香港の大学がアルプス処理水に関する調査 日本への信頼高く、訪日減らさない

香港城市大学によるアンケート調査でもアルプス処理水と訪日の影響は大きく関係しないことが明らかに

香港城市大学によるアンケート調査でもアルプス処理水と訪日の影響は大きく関係しないことが明らかに

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 香港城市大学人文社会科学院の媒体與傳播系(Department of Media and Communication)の黄懿慧(Christine Huang)教授のチームが2月19日、東京電力福島第一原子力発電所に関連する多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出についてのアンケート調査結果を発表した。処理水の問題があっても「訪日回数を減らさない」と答えた人が約6割に達するなど、日本への信頼が依然として高いことが明らかになった。

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 現在、香港政府はアルプス処理水が放出されたことを受け、昨年8月24日から福島、宮城、東京、千葉、埼玉、栃木、茨城、群馬、新潟、長野の10都県で収穫、製造、加工などされた水産物の輸入を禁止している。

アンケート調査は20歳以上の香港市民1418人を対象に、2023年10月から12月までオンライン形式で行った。

 「健康リスクへの認識」について、リスクが高いとしているのは60.4%、変わらないとしたのが11.7%、低いと答えた人が27.9%だった。年齢別で見ると、20~29歳=51.7%、50歳以上=65.5%と、年齢が低い方がリスクを心配する率が下がった。性別で見ると、男性の場合、高い=55.5%、変わらない=11.0%、低い=33.5%となり、女性は、高い=64.3%、普通=12.3%、低い=23.4%と、女性の方が心配していることが分かった。

 同大の代悦教授は「女性は健康上のリスクをより高く認識しており、生活や環境の安全性についてより懸念していることが分かったほか、年齢によっても健康リスクへの認知が異なることもはっきりした。政府は住民への情報発信に関する政策を策定する際、異なる集団のニーズや懸念に的を絞った情報提供できる」と述べ、「きめ細かな発信をすることで市民の不安を取り除くことができる」と言う。

 「予防措置」についての調査も行った。「福島産の食品を食べないようにするか」については、そうする確率が高い=52.8%、変わらない=15.3%、そうする確率が低い=31.9%と、半数以上が福島県産の食品を避けるという結果が出た。20~29歳に限れば、福島産を避けると回答した若者は38.1%にとどまっている。

 「日本の生活用品を購入したり使ったりするのを避けるか」という設問には、そうする確率が高い=21.3%、変わらない=17.3%、そうする確率が低い=61.4%で、メード・イン・ジャパンへの信用が落ちていないこと分かった。

 「日本に行く回数を減らすか」という問いには、そうする確率が高い=25.7%、変わらない=18.2%、そうする確率は低い=56.1%だった。半数以上が、処理水が怖いからといって日本に行かない理由にならないという実態も明らかになった。

 日本政府観光局(JNTO)が2月21日に発表した2024年1月の「訪日外客数」によると、香港からは18万6300人とコロナ前の2019年と比較すると22.6%増で、城市大学の調査結果を裏付ける形になった。2019年通年の訪日香港人数は過去最高の229万人を記録しており、このまま円安が継続し、さらに香港と日本を結ぶ航空路線の増便や回復が見込まれることから、大きな出来事がなければ2024年の訪日香港人数は過去最高を更新する可能性は低くない。

 香港政府による「各種政策」については、「輸入制限措置」につい、支持する=56.4%、どちらとも言えない=13.4%、支持しない=30.2%を記録。加えて「放射線モニタリング検査」については、支持する=74.3%、どちらとも言えない=10.3%、支持しない=15.4%だった。

 調査を主導した黄教授は「多くの回答者が福島産の食品を控えると答えている一方で、日本旅行や日本製品の購入意欲については大きく下がっていない。これは香港人がさまざまなリスクを考えた結果、福島を除いた日本の各地域は比較的リスクが低いと考えている」と分析。香港政府がとった措置については、「科学的なデータを尊重する香港市民の性格が表れており、定期的な放射線検査やデータのタイムリーな公開が、香港人がリスクに対処する上で役立っている」とした。

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