香港国際空港を運営する機場管理局(HKIA)は7月2日、8億香港ドルを投資した新セキュリティーシステムの運用を始めた。利用客は、手荷物検査場での検査時間と待ち時間が短縮されることになる。
3次元画像によるX線検査は、PCやペットボトルを取り出す必要がない
日本の空港の一部では既にPCをかばんから取り出さなくてもいいスマートレーンが導入されているが、HKIAも8億香港ドルを投資して、PCや100ミリリットルまでの液体、充電器などを取り出さなくても検査可能なスマート・セキュリティーの選別システムを導入した。HKIAによると、検査全体にスマートシステムを導入し運用を始めたのは香港国際空港が世界初だという。
これまでPCなどを取り出す必要があったのは、材質の特性上、透視できずPCの下にある物体を確認することができなかったため。新スマート・セキュリティーのシステムは、X線を360度、どの方向からでも監視できるシステムであることから、PCなどを取り出す必要がなくなった。
HKIAによると、アップグレードした検査システムにより空港の出国審査能力を20%向上させることが可能になった。具体的には、3人分同時に検査できるようになったほか、手荷物検査時間は15秒から10秒に短縮。新レーンの1時間当たりの処理能力は現在の約240人から約360人に向上し、空港全体の平均処理能力も同8400人から1万人と約20%増加する。これにより旅行客の98%は4分半で検査を完了できる見込みだ。
新システム導入のため空港スタッフ3100人に訓練を行った。北側と南側にある4台のレーンから運用を始めている。作業効率のアップが図れること、閑散とする時間帯であれば人員を4分の一にまで減らしても大きな問題は発生しないと試算しており、現在はトータルで50あるレーンを2年かけて32レーンにするとしている。
荷物はトレーに載せるが、トレー上に何か忘れものが残っている場合は、音が鳴って取り忘れを防止する機能を付けた。これまで後方にたまっていたトレーは、スタッフが頃合いを見て検査を始める位置に戻していたが、自動回収システムを導入したことで人員を節約することにもつながった。加えて、以前はセキュリティー装置の上に消火装置が備え付けられていなかったため、安全上の観点から新システム導入に合わせて消火装置を設置した。
第3滑走路が完成し、現在は新ターミナルも建設中の香港国際空港。今後、同空港を利用する客が増えることが予想されており、新システム導入は、利用客にとって検査場でのストレス減少に貢献すると見られる。