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香港と深セン、交通系共通ICカード発行開始 中国本土327都市で使用可能に

香港と中国本土、両方で使えるICカード登場

香港と中国本土、両方で使えるICカード登場

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 香港の交通系のICカード「八達通(Octopus)」と深センの交通ICカードである「深セン通」が統合された「互通行」の発行が8月30日、始まった。これにより、香港と深センの公共交通機関を利用する場合、このカード1枚で済むほか、中国本土327都市でも使用可能となった。別名「深港一●通」とも呼ばれる電子マネーも兼ねたこのICカード登場により、各都市での移動や買い物がより便利になることから、観光客・ビジネス客を多く呼び込みたい考えだ。

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 互通行は、2012年9月に香港と深センのみで利用できるICカードとして両都市の公共交通機関で利用できたほか、小売店での支払いも利用可能な電子マネーとして発行された歴史がある。 

 八達通は、ソニーが開発した非接触型ICカード規格「FeliCa」を世界で初めて採用し、JR東日本が発行するSuicaよりも4年早い1997年に香港の地下鉄に登場した。既に2000万枚以上が発行され、約98%の香港人が所有しているなど、香港社会への浸透度が高い。

 香港で地下鉄などを運営する香港鉄路(MTR)は、深センの地下鉄の運営権の一部を持っており、深センの地下鉄が開業するに当たり運行方法やICカードなどを含め香港とほぼ同じシステムを導入してきたほか、今では北京や上海の地下鉄運営にも関わっており、MTRの運営方法が中国各都市の公共交通機関の運営に影響を与えてきた。

 今回の新しい互通行は、香港、深センの2都市だったものが、北京、天津、大連、上海、南京、武漢、重慶、広州など中国本土327都市で利用可能。つまり、中国の主要都市はほぼカバーできる交通系ICカードに拡張された。カードは、羅胡、福田口岸、皇崗口岸、蛇口港などの各地下鉄駅に設置されている専用端末のほか、深セン内にある53カ所の郵便局でも販売する。価格は68人民元で、デポジットはない。

 チャージは香港ドルと人民元に分かれ、香港ドルの場合は、各地下駅に設置されているチャージ用端末、コンビニエンスストア、八通通のアプリで行う。人民元は、各地下鉄駅のカスタマーセンター、深セン通のアプリなどでチャージする。Alipayの香港版や中国本土版のアプリなどを持っている場合は、Alipayの口座から香港と深センの両方にチャージすることも可能。

 計画では、まず1300万枚の販売を目指す。特に香港と深センは1時間圏内で行くことができることから相互交流をより促進させたい考え。併せて年内を目途にマカオの交通ICカードである「澳門通(Macau Pass)」との連携を実現させる予定。中国政府が進める粤港澳大湾区(Greater Bay Area)構想を進めるためにも、同カードを通じて香港、マカオ、深センの経済一体化を図りたい狙いがあるとみられる。

 ●=上かんむりに下

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