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香港の文化複合施設「CHAT」、5周年で夏の企画展

5周年を迎えるCHATの夏の企画展で展示されている、地元のアーティスト伍韶勁さんと作品「Globes」

5周年を迎えるCHATの夏の企画展で展示されている、地元のアーティスト伍韶勁さんと作品「Globes」

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 香港の複合施設「The Mills」に入るテキスタイル・ヘリテージ「CHAT(Centre for Heritage, Arts, and Textile)」(The Mills, 45 Pak Tin Par Street, Tsuen Wan, N.T)で8月3日、2024年夏のアートプログラムが始まった。5周年を迎えるCHATはアーティストたちとコラボレーションし、来場者を巻き込んだ体験型の活動を展開する。

地域の学生たちと一緒に、天然染料植物や食用植物を育てるBOLOHOのメンバー

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 プログラムの目玉は、メディアアーティストの伍韶勁(Kingsley Ng)さんによる個展「Listen to the Sound of the Earth Spinning」と、広州を拠点とするアーティストグループ「BOLOHO」が手がける参加型イベント「Seed to Textile」。

 CHATで地元のアーティストとしては初の個展となる伍さんの新作では、観客の感覚を刺激する没入型の体験を用意。作品「Globes」では、ペットの飼い主100人から集めたファーを使って制作した球体を展示し、「動物の存在を通して生命の尊厳を感じさせる」作品に仕上げた。

 「Musical Loom」では270年前のジャカード織機を楽器に変え、光と音で歴史をよみがえらせる。「Moirai」では、約200本のロープをたどりながら、「自身の人生の軌跡を反すうできる空間」を設ける。「2010年代の集大成として、観客の皆さんに作品と対話してほしい。感覚を研ぎ澄ませ、自然や歴史と向き合うことで新しい知見が生み出されるはず」と伍さんは話す。

 アーティストの滞在制作(アーティスト・イン・レジデンス)として展開されるBOLOHOによる「Seed to Textile」では一般参加者との共同作業を披露する。

 香港と広州の4カ所で、地域の学生たちと一緒に天然染料植物や食用植物を育て、後の工程で収穫する。最終的に、これらのコミュニティー・プロジェクトの記録を集めたビデオ作品を制作。夏季展覧会期間中、CHATのオープンスタジオでは、来場者参加型のワークショップも多数開催。染色、縫製、グループでのペインティング作業、コラージュ、パフォーマンス、ビデオ制作などのアクティビティーを通じて、参加者が創造的な体験ができるようにする。BOLOHO は「持続可能性への意識を高める機会になれば」と期待を寄せる。

 ここ数年、CHATは文化遺産の保護やアーティストの支援に尽力してきた。5周年プログラムでは、地域社会とのつながりを深めることを目的の一つに掲げる。CHATのエグゼクティブ・ディレクターでチーフキュレーターの高橋瑞木さんは「私たちは常にアートとコミュニティー参加を通じて重要な現代的課題に対して新しい取り組みを行っている。今回のプログラムでは、生命の糸を紡ぐプロセスを理解する上でのアートの役割を探っていく」と話す。BOLOHOによるコミュニティー参加型オープンスタジオについても、「さまざまな芸術的なモデルと全人的なアプローチを実践することで、参加者に持続可能な未来を思い描き、実現に向けて取り組んでほしい」とも。

 開館時間は 11時~19時。火曜休館。入館無料。11月10日まで。

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