香港鉄路(MTR)が8月22日、香港内を初めて走った第1世代車両の特別編成を発表し、彩虹駅(Choi Hung)での公開ショーケースを経て、街中の通常路線での運行を始めた。香港地下鉄MTR運行開始45周年を記念して企画したもので、24日、彩虹駅には当時を知っている人、初めて見る人、鉄道ファンなど大勢の人が訪れ、当時に思いをはせた。
同企画に合わせ、MTRは紅●駅(Hung Hom Station)構内で、站見「鐵路展(Station Rail Voyage)」と題した特別展時展示を年末まで開くほか、中環駅(Central Station)のJ出口で新旧の鉄道を比較した写真展示も展開している。開通したばかりの地下鉄が舞台になった80年代の名曲「幾分鐘的約會(数分のデート)」を香港の歌手、張敬軒さんが再解釈したプロモーション映像なども発表し、香港映画のシーンとともに45年間の思い出を当時の曲調より軽快に仕上げている。
香港の鉄道の歴史は、香港と広州を結ぶ「九広鉄路」という地上の鉄道から始まった。一方、香港の中心部と走る地下鉄の業務は1979年10月1日、観塘(Kwun Tong)から石硤尾(Shek Kip Mei)までの9駅でサービスが始まった。現在は、鉄道網は香港の全18区に拡大し、香港内は全部で9路線、総延長は285キロを超え、駅の数は98まで拡大。ピーク時の運行頻度は1分間隔で、定時運航率は99.9%と日本の鉄道以上に高密度でかつ時間通りに運行されている。さらにMTRは香港と広州などとを結ぶ高速鉄道と接続する高速鉄道サービスも提供している。
MTRは今回、当時の運行開始時の列車を再現に当たり、「回憶(Memories)」と「連繋(Togetherness)」というテーマを設定。既存の運行している列車の大改造を行った。MTRのカラーでもある象徴的な赤と白の外装、オレンジ色の内装が特徴の初代車両は、先頭車両のフロント部分に白い塗装が施されたことから「白頭車」と呼ばれていた。このため、現在のオリジナルである銀色の車体に白色を塗装した。現在のつり革・持ち手の部分は三角状になっているが、当時はその部分が丸いボール状になっていたため、これも改造。さらに天井部分はオレンジ色だったことからこれも当時を再現した。1、2、7、8号の4車両を対象とし、温かみのある色調の照明が施され、90年代の過去をよみがえらせる工夫を各所に凝らしたという。
一方、3,4、5、6号車は、1970~80年代に香港で人気だった漫画の「牛仔(My Boy)」とコラボした特別な内装を施し、コミックキャラクターを装飾。視覚障害者のために現行車両では手すりの一部を赤色にしているが、このような障害者が乗車に必要なものは改装せずに残したという。
初代車両の運行期間は12月31日まで。
●=石へんに勘。