九州・沖縄6県の香港事務所が合同で設立した「焼酎・泡盛プロモーショングループ」が11月13日、香港・中環のバー「GOKAN」で、各県の本格焼酎や泡盛をPRするイベント「焼酎&泡盛フェスティバル」を開催した。
焼酎の日本から香港への輸出量は、年々増加する日本酒の輸出量と対照的に、10年前と比較して縮小している。こうした状況を受け、香港内に事務所を構える九州(福岡・大分・熊本・宮崎・鹿児島)と沖縄の6県が一体となり、2022年に同グループを設立。香港における焼酎・泡盛の認知度向上および販路拡大を図ることを目的に毎年さまざまな活動を行ってきた。
今年は、世界最大規模のカクテルコンペティションでナンバーワンを獲得した経歴を持つ日本人バーテンダー後閑信吾さんとタッグを組んだ。日本だけでなく、上海やニューヨークにもバーを構えるSGグループのファウンダーである後閑さんは、バー業界において早くから本格焼酎に注目してきた人物。九州の酒造メーカーと共に、カクテルのベースになるオリジナルの焼酎「The SG Shochu」を開発するなど、カクテルに焼酎を取り入れることを積極的に発信している。
イベントは、後閑さんが今年7月、中環に香港初進出としてオープンしたバー「GOKAN」で行った。同店の店名は、後閑さんの名字と「五感」に由来。「五感・五色・五味・五法」の、日本食の基本となる考え方をバーに落とし込むことをコンセプトとし、「フードも充実させたレストランバー」と紹介する。
イベントは、バーテンダー向けと一般客向けの2部構成で開催。1部では、香港のバーテンダーを招き、プロモーショングループ代表を務める熊本県事務所共同代表の宮原智彦さんと後閑さんによる、マスタークラスとシェアリングセッションを行った。焼酎や泡盛の歴史、原料や作り方などの基礎的な説明に加え、後閑さんは、本格焼酎を「カクテルに使うスピリッツ」として見るバーテンダーの視点からもレクチャーした。
1部の後半では、後閑さんが実際に焼酎カクテルをデモンストレーションで作りながら、「本格焼酎は他のスピリッツに比べてアルコール度数が低めだが、風味の似た他のスピリッツを少しミックスして度数を補うことで、焼酎の風味も生かしながらカクテルを作ることができる」などノウハウを共有した。参加者は、福岡県のゴマ焼酎「紅乙女」を使った「WATER MELON FIZZ」と沖縄県の泡盛「さんご礁ブラック」を使った「KOJI ESPRESSO MARTINI」の2種類の焼酎カクテルと、各県の焼酎を試飲した。
2部では、6県それぞれの焼酎を使ったカクテルを一般客向けに提供。参加者は、1部で提供したカクテルのほか、大分県の麦焼酎「杜谷 華むぎ」、熊本県の栗焼酎「深野蔵の栗焼酎」、宮崎県のショウガ焼酎「鏡洲GINGER」、鹿児島県の黒糖焼酎「まんこい」など、さまざまな原料の本格焼酎を使い、後閑さんのチームが考案したイベント限定のカクテルを楽しんだ。一番人気は「Kokuto Highball」だったという。
後閑さんは「本格焼酎を世界に広めていくには、カクテル向けのスピリッツとしての認知を拡大していく必要があるが、現状はまだ、その分野でのエキスパートが少ない。バー業界で焼酎の魅力を伝えていくことができるエキスパートを、日本人に限らず増やしていくことが重要」と話す。