Japan Eyewear Holdingsが手がける日本の老舗メガネブランド「金子眼鏡」(Shop502B 5/F, 12 Pedder Street, Central)が11月30日、香港初となる直営店を、中環の歴史的建造物「畢打行(ペダービルディング)」の5階に位置する「Pedder Arcade(ペダーアーケード)」内にオープンした。
同社は1958年、メガネの産地として知られる福井県鯖江市で「金子眼鏡商会」としてメガネの卸販売でスタートした。鯖江市のメガネ生産は専門工場による分業が一般的だが、同社は企画から製造までほぼ全ての工程を内製化し自社一貫生産体制を確立。金子眼鏡は現在、日本に85店舗を構え、アパレルメーカーなどとのコラボよるオリジナルブランドも積極的に展開している。
同ブランドのメガネは職人によって一本一本手作りで製造。職人の技術力と現代的なデザインを融合した商品は海外からも評価をされ、国内店舗利用客の約2割はインバウンド客だという。
海外への展開は、各国の小売店への卸売りに加え、これまでニューヨーク、パリに直営店を出店してきたほか、昨年中国初の直営店を上海に出店。同社香港CEOの秋田徹さんは「インバウンド客の中心は中国や香港などアジアからの客で、品質にこだわりを持つ富裕層が多い。日本で購入したメガネのメンテナンスやリペアの窓口が自国にも欲しいという声が多くあったことも、アジア進出の理由の一つ」と話す。
香港1号店が入居する「Pedder Arcade(ペダーアーケード)」は、香港の紳士服ブランド「The Armoury」が昨年オープンした複合商業ゾーン。かねてより金子眼鏡を愛用していた「The Armoury」オーナーの石賢正(マーク・チョー)さんの紹介で、出店が実現したという。フロアのデザインと調和する木材を基調とした内装で、入り口にはのれんをかけた。
直営店では品ぞろえを充実させ、約500本の自社製造のメガネを販売する。鯖江市の伝統工芸である「越前蒔絵(まきえ)」をあしらう一点もののフレームなど、直営店舗限定の商品も用意した。日本の店舗で長年経験を積んだ日本人スタッフも配置し、現地スタッフの教育やサービスの提供を行う。
香港への出店について、秋田さんは「最大の目的はブランディング」と話す。同社はかねて「店舗がブランディングにおける最大のメディア」との考えから、SNS等での情報発信ではなく、口コミでのブランド認知度を浸透させていくことを基本としているという。「世界中から人が集まる香港で、質の高い店頭サービスを提供することで、グローバルブランドのポジションを高めていきたい」と秋田さん。「日本の店舗や卸先での販売を通じて既に香港には金子眼鏡のユーザーも多く、オープン早々にメガネのメンテナンスに来てくれる人もいた。直営店でより多くの商品を紹するとともに、メンテナンスや修理などの丁寧なアフターサービスを提供し、同社の眼鏡を長く安心して使ってもらえる環境を整えたい」とも。
営業時間は、月曜~土曜=11時~19時30分、日曜=12時~18時。