
シンガポールの国民食である海南鶏飯を提供する「文東記」が香港に初進出し、3月26日、香港の銅鑼湾のグルメストリート登龍街(Shop 4, G/F, V POINT, 18 Tang Lung Street, Causeway Bay TEL 2633 1122)にオープンした。
同店の歴史はシンガポールの小さなチキンライス屋台が始まり。創業当時、限られた資金ではレストランが開けず、チャイナタウンの中に屋台を設け、最初は毎日6羽の鶏を仕入れ、鶏のさばき方などを研究して味を調整し、徐々に拡大してきた。しかしすぐに競合も増え、創業者の程文華さんは、小皿料理も加え、文東記独自のスタイルと文化を創り出したという。
1979年の創業以来、シンガポールに8店舗をオープンし、そのユニークな味と手頃な価格で高い評価を得てきた。初の海外進出はタイで、既に45店舗を展開。全店舗とも、シグネチャーである海南鶏を香ばしく蒸しゆでた「美味白切鶏」をメインメニューに据える。
香港店では、登龍街向きにハイチェアのカウンターを並べ、店内は2人や4人でも利用しやすいテーブル席も設けた。店内では仕切りも用意し、1人での利用客も多い。椅子などには赤色を使うが、店内装飾はシンプルで、壁には文東記に関するシンガポールの新聞記事などを掲げる。
シンガポールの味をそのまま維持するだけでなく、「香港の地元の食文化を取り入れるよう努力した」という。例えば、白切鶏の他にもさまざまな料理を提供し、サイドディッシュを選んで食事にバリエーションを加えることもできるようにした。
海南チキンといえば、もともとソースに地域ごとの違いや特徴があり、シンガポールでは、チリ・しょうが・黒じょうゆの3種のタレを添える。この3種類のソースは鶏肉のつけダレとして使われるだけでなく、多くのシンガポール人はチリソースと黒じょうゆを混ぜて油飯にかけることもある。ただし、「気候の影響でシンガポールの味は濃厚だが、香港では少し甘さ控えめが込まれるため、市場に合わせ、できるだけ原材料そのままの味を保つようにした」という。
看板メニューのチキン「美味白切鶏」は、レギュラーサイズ=108香港ドル、ハーフサイズ=168香港ドル。チキンとライスは別々のスタイルで、チキンライス(油飯)=20香港ドル、ライス(白飯)=15香港ドルで提供する。
ランチは6つのセットメニューも用意し、白切鶏と油飯のセット(88香港ドル)、これに豆腐を揚げた「脆皮豆腐」を2個追加したセット(108香港ドル)、またはハーフサイズの酢豚「●●肉」をセットにしたもの(128香港ドル)などを用意した。
アラカルトは、ポークリブ「京都排骨王」、酢豚「●●肉」や、中華風茶わん蒸し「三皇蒸水蛋」(以上98香港ドル)や、芥藍や通菜などの野菜類と内臓や魚を食い合わせた各種メニューも用意した。ほかに、エビトースト「蝦多士」(2個、76香港ドル)やエビロール「五香蝦棗」(6個、68香港ドル)などのスナック類もある。これらをセットにした2人用のメニューも298香港ドルで提供する。
「当店の白切鶏は、繊細な食感、柔らかさ、ジューシーさ、独自の秘伝のソースに定評がある。油飯も、脂っこくなく適度な食感と香りがあり、ミシュランの審査員にも認めてもらった白切鶏を引き立てる。丁寧な加工を施した海南鶏飯の本場の味を楽しんでもらえれば」と話す。
営業時間は11時30分~22時。
●●=口へんに古、口へんに魯