
香港・中環のミシュラン1つ星広東料理レストラン「都●利會館(Duddell’s)」が香港の著名デザイナー傅厚民(Andre Fu)さんによる空間改装を経て、8月29日にリニューアルオープンした。JIA Groupが手がける同店は2層構造で、陳佑良シェフによる広東料理とマリオ・カルデローネ(Mario Calderone)さんによるカクテルを提供する。
「Duddell’s」は、陳佑良シェフによる広東料理を提供する
リニューアルした店内は、「アートコレクターの邸宅に足を踏み入れたかのような空間をイメージした」という。風水思想を反映し、木彫りや石彫り、陶磁器による装飾が豊富な嶺南建築と、広東省開平市などで見られる1920年代の「櫓楼」と呼ばれる塔状の多層住宅建築から着想を得たデザインで、西洋の建築様式と中国伝統の室内構成、モダンな香港らしさを巧みに融合した。
ピスタチオグリーン、深みのあるブルー、クリームイエローなどの色調がマットな質感の塗り壁と調和し、落ち着きのある雰囲気を演出。中国風のペンダントライトやステンドグラススクリーンが空間にアクセントを与え、歴史と芸術、料理が一体となった体験を演出した。
3階の「メインダイニング」では、リニューアル記念メニューを用意した。代表的な一品は鶏のエキスで炒めたエビ料理「濃鶏汁玻璃大蝦球」(498香港ドル/1人)。複雑な工程で調理するもので、丸鶏をじっくり蒸し、濃厚で凝縮された「鶏のエキス」のスープを作る。わずか3人分しか取れないこのスープを、ふっくらとしたエビと組み合わせた。
「カニの甲羅揚げ」(328香港ドル/1人)は宴席の定番料理。新鮮なカニ肉を玉ネギ、エシャロット、牛乳、バターで炒め、サクサクの黄金色の甲羅に包み込む。
同店名物のクリスピーチキン「都●利吊炸鶏」(ハーフ 368香港ドル~、ホール698香港ドル~)は、龍江鶏を10時間漬け込み、乾燥させた後、つり揚げ調理する。油を300回以上かけ、サクサクの皮が生まれるという。
新コース「經典手工粤菜」では、パイ生地に包まれた帆立ムースにキャビアを添えた「黒魚子帯子戈渣」(4個288香港ドル)、カニ肉とホタテ、卵白を高級ツバメの巣で包み、表面はカリッと、中はふんわり仕上げた「香煎生拆花蟹肉琵琶燕」(328香港ドル/1人)などを用意する。
コース料理は3段階(1,588香港ドル、2,088香港ドル、3,888香港ドル)で提供し、季節の食材を生かした8品のコースを提供する。
4階の屋外テラス席も備える「The Upper Room」では以前同様、小皿料理、点心、現代的な広東料理をそろえたメニューで終日楽しめるよう設計した。
和牛入り焼き饅頭「黒椒A4和牛生煎包」(3個108香港ドル)や、ニラ入りエビ春巻き「韭黄鮮蝦春卷」(同68香港ドル)などを提供する。キノコ類、ナス、オクラなどの盛り合わせ「避風塘田園●盤」(138香港ドル)も「お薦め」だという。
ボリューム感のある料理では、豚バラ肉、カシューナッツ、ニラ、干しエビの特製XOソース炒め「都●利X.O.小炒王」(198香港ドル)のほか、揚げイカ料理「椒鹽鮮●」(228)香港ドル、黒豆炒め鶏肉の土鍋料理「乾葱豆●鶏球●」(258香港ドル)などもある。
夜はディナーのセットメニュー(1人前358香港ドル、2人以上)を提供。滑蛋炒蝦球(30香港ドル追加)や麻婆豆腐、揚州炒飯などを組み合わせた構成で、温かい「生磨蛋白杏仁茶」や「香芒楊枝甘露」(以上40香港ドル追加)で締めくくる。週末にはランチのセットメニュー(638香港ドル~)のほか、飲み放題プランも用意する。
カクテル(各138香港ドル)は、風水の八卦図をモチーフにしたエネルギーの表現がテーマ。Fire(ニンジン蜂蜜)、Earth(白酒とキンモクセイ蜜)など、味覚だけでなく「意図」で選ぶ新しい体験を提案する。
営業時間は、3階=ランチ12時~15時、ディナー18時~23時、4階=12時~23時(日曜は22時まで、金曜・土曜は24時まで)。
都●利=父かんむりに多、●盤=手へんに并、鮮●=魚へんに尤、豆●=豆へんに支、鶏球●=保かんむりに火。