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香港、悪天候影響の「社会の一時停止」が6回目 異常気象が経済を直撃

今年は香港の社会機能が6回も「一時停止」することになった

今年は香港の社会機能が6回も「一時停止」することになった

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 香港の気象台に当たる香港天文台(Hong Kong)は9月7日、台風「塔巴(Tapah)」の接近により21時20分にシグナル8を発令し、翌8日13時10分にシグナル8を解除した。香港ではシグナル8以上、または黒色暴雨警告(Black Rain)が天文台から発令されると、多くの企業は出勤停止となり、学校は休校するなど香港社会がストップするが、2025年はこの香港社会が一時停止する状況が今回で6回目となった。これが香港経済にボディーブローのように影響を与えている。

珠海の西側を通過し大事に至らなかった。木はしっかりと紐で固定

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 2025年の香港の天候は、台風や黒色警告が多いのが特徴。香港の台風シーズンは6~9月だが、今年、シグナル1が発令されたのは6月11日だった(後にシグナル3に変更)。7月19日には台風「韋●(Wipha)」が襲来し翌20日16時10分にシグナル10が発令されるほどだった。8月は台風シグナル1が4回発出されたが大きな影響はなかった。しかし、8月2日、4日、5日、14日と黒色暴雨が相次いで出され、社会がストップ。そして、今回の台風、塔巴の接近によりシグナル8が出されたことから、9月9日現在、今年は香港の社会機能が6回も「一時停止」することになった。

 塔巴の中心気圧は975ヘクトパスカルで、瞬間最大風速が48メートル/秒だった。香港に最接近したのは8日早朝5時から10時ごろまでで、香港の南西170キロ。影響を見ると、9月8日13時53分現在(シグナル3が発令中)政府が発表したところでは、けが人は12人で、台風シェルターには221人が避難したほか、127本の木が倒れた。一部の木は道路をふさぎバスの運行に影響が出た。

 社会の動きでは、一般的な企業は8日15時過ぎからの勤務開始となり、学校は終日休校、公共交通機関は間引き運転、銀行や病院の一般外来は営業停止、香港各地にあるビーチは閉鎖、香港ディズニーランドはシグナル3なった時点で営業再開するとアナウンスし、8日のシンフォニー・オブ・ライツは中止となった。機場管理局(AA)によると香港国際空港では8日17時までに140便が欠航し、370便に遅れが出たと発表している。

 天文台は、シグナル8を発令した際、台風が広東省接近するにつれ、台風の中心部でより激しい上昇気流が発生して雲頂が対流圏の頂部にまで到達した。今後の進路が大陸側ではなく珠江側に近づいた場合はより発達する可能性があるとしていた。その場合は、より数字の高いシグナルを発生する可能性があるとしていたが、珠海の西側を通過し大事に至らなかった。

 香港経済は、北上消費の影響を受け、内需に力強さがなく、小売業と飲食店に大きな影響が出ているだけに、異常気象により社会が止まることはさらなる経営状況の悪材料となる。通常営業を止める恵康(Wellcome)、百佳超級市場(PARKnSHOP)などの大手スーパーマーケット、マクドナルド、KFC、大家楽(Cafe de Coral)などのような飲食チェーン店、屈臣氏(Watons)など多くの支店が通常通り営業した。その理由の一つとして、家で過ごす香港人が増加するため食に対する需要があることから、それに応えるというもの。もう一つの現実として、厳しい経営状況を受け、少しでも売り上げを上げたいという思いもある。

 台風シーズンはまだ続いており、今後の台風の規模と進路によっては、再び香港経済にダメージを起こす可能性があり、依然として予断を許さない状況だ。

 ●=巾へんに白。

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