香港4大不動産デベロッパーの一つ、恒基兆業地産(Henderson Land Development)が11月18日、中環新海濱(New Central Harbourfront)で進める総延べ床面積約160万平方フィートの大規模複合開発プロジェクトを「Central Yards(セントラル・ヤーズ)」と命名し、フェーズ1は2027年、フェーズ2は2032年の開業を予定すると発表した。
恒基兆業地産は香港を代表する大手デベロッパーで、中環の特徴的な外観を持つ超高層オフィスビル「The Henderson」や、九龍の大型商業施設「Metro City Plaza」などを手掛けてきた。ホテル事業としては、グループ傘下の「The Mira Hong Kong」「Mira Moon」などを運営する。
今回の開発地は、国際金融中心(IFC)に隣接するハーバーフロントの51万6316平方フィートの土地。2021年11月、香港政府が50年間の用地使用権についてツーエンベロープ方式で競争入札を行い、恒基兆業地産の関連会社が5社の競合を抑えて50.8億香港ドルの過去最高額で落札した。
Central Yardsは「人・サステナビリティ・イノベーションを中心に据え、未来のグローバル都市の在り方を体現する開発」と位置付けられ、総事業費は約630億香港ドルとされる。
同社は Central Yards の建築コンセプトを「The Bridge」と説明する。ビクトリアハーバー沿い約400メートルにわたり水平方向へ伸びる「グラウンドスクレーパー」型の低層建築を採用し、中環では最長クラスの新たな水平スカイラインを形成する。設計には香港のLead8、ロンドンのAL_A、オランダのUNStudioなど国際的に著名な建築・デザイン事務所が参画している。
10階建てとなる建物は、6フロアがオフィス、3フロアがリテール、1フロアがロビーという構成。約70万平方フィートのオフィスと付帯施設を提供し、中環地区では最大規模のオフィスフロアプレートを備える。フェーズ1が提供するオフィススペースの70%以上は既に成約済みで、多国籍企業を中心に残り区画への関心も高いという。
プロジェクトの中心には、中環エリア最大規模となる約30万平方フィートの多層型オープンスペースを設ける。全長約300メートルの高架状のスカイガーデンに400本以上の樹木と280種の植物を植栽し、「アーバンウインドー」と呼ばれる自然光と風を取り込む設計を取り入れることで、「微気候を最適化する」という。ハーバーフロントからスカイガーデンへ続く歩行者動線を確保し、イベントや散策、休憩など多目的に利用できる公共空間として機能させる。
リテール部分は「都市の中の都市」をテーマに、屋内外がシームレスにつながる構造を採用する。屋内外をシームレスにつなぐショッピング環境を構築する。フェーズ1は約30万フィートの規模を予定。ポップアップやイベントを展開できる屋外イベントスペースを12カ所配置するなど、24時間活気のある商業ゾーンの形成を目指すという。
文化施設としては、香港で唯一となる民間のブロードウェー級シアターを導入する計画がある。1100席を超える規模を備え、国際基準の舞台設備を整えることで、世界的な公演や没入型ショーなどの誘致を図る。