香港・中環の老舗ホテル「マンダリンオリエンタル香港」(5 Connaught Road Central, Hong Kong TEL:2825 4004)内のグリルレストラン「Mandarin Grill + Bar」に11月14日、フランス出身の若手実力派のジュニア・ナジェ(Junior Nadje)シェフが料理長として着任した。ヨーロッパのミシュラン星付きレストランで研さんを積んだナジェシェフの就任に合わせ、「Discovery Menu(ディスカバリーメニュー)」の提供も始めた。
ナジェシェフの料理哲学の礎には、フランスとモナコの名門レストランで培われた経験があるという。パリの3つ星レストラン「Alleno Paris(アレノ・パリ)」、リヨンで郷土色豊かな料理が特徴とするミシュラン2つ星「La Mere Brazier(ラ・メール・ブラジエ)」、南仏エズの「La Chevre d'Or(ラ・シェーヴル・ドール)」、モンテカルロの「Blue Bay(ブルー・ベイ)」などで経験を重ねてきた。フランス料理の精緻な技法に加え、火と煙をテーマにしたグリル料理への深い造詣があり、香港の食文化にインスピレーションを受けながら、独自の料理世界を築いていくという。さらに、「日本の食材もとても好き」とナジェシェフは話す。
現在、最初に手がけた「Discovery Menu」(1,188香港ドル)は期間限定で提供を決めたが、メニューは4品構成で、季節野菜のグリルを中心に、魚料理、肉料理、デザートまで、「火の香りと素材の個性を引き出した内容でまとめた」という。
キャビアのパイなどの一口スタイルの前菜に続き、グリルした野菜をちりばめたプレートを提供。1皿に使う野菜は28種類で、黄色やオレンジのミニキャロットやセロリ、ラディッシュなどを組み合わせてシャンパンソースで仕上げた「絵のキャンバスのような一皿」に仕上げた。
魚料理は、地元産の赤ムレット(ヒメジ)をシソのピューレとスモークしたマンダリンコンフィで提供し、魚の繊細さに「かんきつ」の香りを組み合わせた。肉料理には、独特の甘い香りと爽やかな風味を持つハーブ「タラゴン」でマリネした鶏肉をグリルし、根菜のサルシフィ(西洋ゴボウ)とポテト、鶏のだしをベースにした、生クリームと卵黄を加えた濃厚なホワイトソース「ソース・シュプレーム」を添えた。
デザートには、季節を意識し、タヒチ産バニラと栗、洋梨を使った一皿に、ダークラムのアイスクリームを添えたプレートを用意する。2杯(488香港ドル)または3杯(588香港ドル)のワインペアリングも提供する。
「火は原始的でありながら、同時に優雅な存在でもある」とナジェシェフは話す。「私の料理は、煙と新鮮さ、深みと軽やかさ、心地よさと驚き、その全てのバランスを追求している。香港のエネルギーと食文化との関係性は私に大きな刺激を与えてくれる。今回メニューは、ここで私が築いていきたい世界のほんの始まりにすぎない」と意気込む。
Mandarin Grill + Barはリノベーションのため、来年2月より一時休業することが決まっており、第2四半期にリニューアルオープンを予定している。新空間では、伝統と現代性を融合させたデザインと体験を提供する見込みで、ナジェシェフの料理哲学が空間全体にも反映されるという。年末年始も営業を継続し、ナジェシェフによる「季節感あふれる祝祭メニュー」も提供予定。
営業時間は、ランチ=12時~14時30分、ディナー=18時~22時。