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Carro、土瓜灣に香港旗艦店 中古車販売とアフターサービスを一体化

オープニンしたCarroの旗艦店

オープニンしたCarroの旗艦店

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 アジア太平洋最大級のオンライン中古車プラットフォーム「Carro」(163 Ma Tau Wai Road, To Kwa Wan, Kowloon)が11月20日、香港・土瓜灣のBMW Houseに新たな旗艦店をオープンした。

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  総面積約4万2000平方フィートに及ぶ3フロア構成の大型店舗で、販売から整備までを一体化したサービスを提供する。開業イベントにはCarroのセレブリティアンバサダーを務める俳優の陳豪(Moses Chan)さんも登場し、華やかなオープニングを飾った。

 7階・8階はショールーム兼体験スペースとして設計し、顧客はラグジュアリーカーや欧州車を含む幅広い在庫を「快適な環境」で見ることができる。5階には「Carro Care」と呼ばれるアフターサービス専用フロアを設け、車検前点検、整備、リフレッシュ作業などを提供。電気自動車やNEVS車両にも対応し、香港の中古車市場におけるサービス水準の向上を目指す。

 Carro共同創業者兼グループのAaron Tan(陳●程) CEOは「香港の中古車業界はアフターサービスの不足や透明性の欠如が批判されてきた。当社はそのイメージを変えるためにここに根を下ろした。最新設備と技術を導入し、信頼性と透明性を重視したサービスを提供することで、顧客に安心を届けたい」と話す。香港法人の余家●(Garry Yu)CEOも「販売後も安心して任せられる体制を整え、煩雑な手続きも一括で引き受ける。Carro Certifiedの中古車は『新品同様』の品質を保証し、顧客に平穏なカーライフを提供する」と強調した。

 同社は2015年にシンガポールで創業し、現在は香港を含む7市場に展開。2025年度の監査済み決算では売上高10億シンガポールドル以上、粗利益1億1,100万米ドル、EBITDA3,200万米ドルを計上した。ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから累計7億シンガポールドル以上を調達し、ユニコーン企業として急成長を遂げている。香港市場には2024年に参入し、今回の旗艦店開設でオンラインとオフラインを融合したサービスを本格展開することになる。

 本拠地をシンガポールとし、利用者は主にシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイといった東南アジア諸国を中心に広がっている。さらに日本や台湾、香港にも展開を広げる。

 日本市場では中古車販売の仕組みが既に成熟しており、全国規模で展開する大手ディーラーやオークションネットワークが整備されているため、新規参入企業が差別化を図るのは容易ではない。車検制度や保証サービスも厳格に運用されており、透明性や信頼性は既に高い水準にあるため、同社が強みとする「検査や保証による安心感」は日本では標準化されており、独自性を打ち出しにくい。加えて、日本の消費者は中古車購入時に実車を確認する傾向が強く、オンライン完結型の取引はまだ限定的であることも障壁となる。

 一方、香港の中古車市場は2025年時点で約18億米ドル規模に達しており、2030年までに年平均8~9%の成長が予測されている。新車価格が高く登録税や保険料の負担も大きい香港では中古車需要が安定しており、SUVやセダンが特に人気を集めるほか、近年は電気自動車の中古市場も拡大している。そこに従来の中古車販売はアフターサービスの不足や透明性の欠如、店舗立地の不便さなどが課題とされてきた。

 同社は独自の価格アルゴリズムやAI技術を活用して透明性の高い取引を実現。今回の旗艦店開設は、香港の中古車市場における新たな基準を打ち立てる試みであり、販売から整備、金融、保険までをワンストップで提供する体制は、従来の中古車販売店との差別化を鮮明にしている。

 Carroの事業は中古車販売にとどまらず、整備部門「Carro Care」、自動車金融「Genie Financial Services」、インドネシアのモビリティーサービス「MPM Rent」、IoTを活用したフリート管理「Innorithm」、タイ最大のオンラインマーケット「Kaidee」、マレーシアのデジタルコンテンツ会社「Driven Communications」など多岐にわたる。今回の香港旗艦店は、こうしたエコシステムを一体化し、顧客に包括的なカーライフ体験を提供する拠点として位置付ける。

 ●=日へんに韋。●=火へんに韋。

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