熊本発のつけ麺専門店「つけ麺 魚雷(魚雷沾麺)」(G/F, 389 Lockhart Road, Wan Chai)が12月3日、灣仔・駱克道(Lockheart Road)に路面店としてオープンした。初の海外進出で、香港の飲食企業がフランチャイジーとして展開する。
「魚雷」は、創業者の松永隆二さん・佑佳さん夫婦が熊本で立ち上げたブランド。豚骨文化の根強い熊本で、「従来の豚骨スープとは異なる新しい味を生み出したい」という思いから、独学で魚介と豚骨を組み合わせたスープ作りに取り組み、「濃厚ながら雑味がなく、清涼感のあるスープ」として人気を獲得してきた。現在は日本国内でグループ店舗合わせて10店舗以上を展開している。
香港進出のきっかけは、約1年半前に香港のパートナーから出店の打診を受けたことだった。当時は海外展開を想定していなかったが、2人は「熊本から海外へ出る」可能性に魅力を感じ、会社として準備を進めてきた。その後も継続的に情報交換を行っていたところ、約3カ月前に再び具体的な話が持ち上がり、出店が決まったという。
一般的な豚骨スープは骨を砕きながら炊くことが多いが、同店では骨を過度に砕かず長時間炊き続け、骨の雑味や酸味を出さずにうまみのみを抽出する製法を採用している。豚骨や豚足、鶏ガラなどを17時間以上かけて炊いたスープに、サバ・煮干し・かつお節などの魚介エキスを合わせることで、「豚骨の厚み、魚介のコク、清涼感のあるキレが共存するバランスを実現した」という。佑佳さんは香港の多くの店を食べ歩く中で、「塩味は控えめ、うまみが強めの味が多い」と感じたことから、「日本と同じベースのスープを使いながらも、塩味を抑えてうまみを引き立てる方向に微調整した」と話す。
麺は3種類の小麦粉を配合し、かんだ際の香りと弾力を重視。つけ麺は通常、冷水で締めた「冷麺」が一般的だが、香港店では日本では寒い季節限定で提供してきた温かい「熱麺」も常設オプションとして提供する。
代表的なメニューは、「(辛)魚雷沾麺(魚雷つけ麺)」(98香港ドル)と「招牌●●沾麺(カレーつけ麺)」(108香港ドル)。魚雷つけ麺は、魚介豚骨スープに自家製辣油と一味粉を合わせた「濃厚ながらキレのある味が特徴」だという。カレーつけ麺は、まず豚骨魚介スープをそのまま味わった後、酒かす、花椒、豆板醤などを使った独自のカレーソースを麺に絡め、最終的に、その麺をスープに潜らせ味の変化を楽しむスタイルで、日本でも人気の高いメニューだという。
香港ではつけ麺に加え、「魚介豚骨拉麺(中華そば)」(88香港ドル)や「魚雷飯(魚雷めし)」(25香港ドル)など、日本国内のグループ店舗で支持されるメニューもそろえた。まず、つけ麺を味わい、残ったスープをご飯にかけて楽しむ「日本のつけ麺文化の流儀」も香港で紹介している。
佑佳さんは「今後は期間限定ラーメンの展開や、グループ別ブランドとのコラボイベント開催なども検討している」と話し、「香港を国際展開の第一歩として、こだわりのクリアなうまみを多くの人に体感してほしい」と意気込む。
営業時間は、12時~15時30分、18時~22時30分。
●●=くちへんに加、くちへんに厘。