香港の老舗上海・淮揚料理店「雪園壹號」(B1, South Pacific Hotel, 23 Morrison Hill Road, Wan Chai, Hong Kong TEL 3897 9618)が12月22日、創業60年以上の伝統を受け継ぐ期間限定メニュー「雪園跨越六十載八道傳統菜期間限定菜單」(1人488香港ドル)の提供を始めた。同メニューは、雪園の歴史を象徴する八道の招牌料理を一度に味わえる構成で、4人以上で要予約。秋冬のカニシーズンに合わせ、江蘇・陽澄湖直送の大閘蟹(モクズガニ)を使った上海カニ料理を1人88香港ドルで追加できる。
「雪園」は1960年代に揚州出身の名厨・于久錫シェフが香港で創業し、以来、半世紀以上にわたり香港の上海・淮揚料理をけん引してきた。1980年代には弟子の蒋標シェフらが「雪園飯店」を展開し、広東料理を基本とする香港の食文化以外の中国本土の料理と定義される外省料理の代名詞として広く知られる存在となった。焼きショーロンポー「生煎包」や中華ハムスープ「火瞳鶏湯」などの看板料理は食評家や著名人にも愛されている。現在の「雪園壹號」は蒋標シェフの息子である蒋偉源シェフが伝統を継承しつつ、現代的な感覚を取り入れた料理を提供しており、職人技を守りながらも新しい世代の客に向けて進化を続けてきた。
今回の限定メニューは、「雪園」の代表的な料理を集めた豪華な構成で、前菜の盛り合わせ「冷盤四小併」として、「手撕●夫」と呼ばれる小麦粉を発酵させて作る麩(ふ)の一種で、スポンジのように気泡が多く柔らかい食材を、同店では包丁で切るのではなく手で裂くことで不規則な形にし、醤汁をより深く吸わせる工夫を施したもの、揚げた淡水魚を特製の醤汁に漬け込む「上海燻魚」、酒の香りが漂う豚足料理「醉香豬手」、腐皮(湯葉)を柔らかく戻し、野菜の餡(あん)を包んで結び、油で揚げてから再び湯汁に浸すベジタリアン料理「楊州素黄雀」を用意した。
続いて、中華ハムスープ「火瞳鶏燉津白湯」。3年熟成の金華ハムを使うが、その中でも特別に「火瞳」と呼ばれる部位を使う。火瞳はそのままでは使えず、まず火焼きで皮を柔らかくし、水に浸して蒸すことで余分な油脂や雑味を取り除くことで甘みと塩味が生まれるという。さらに、三黄鶏と、煮込むことで柔らかくなり火腿の香りを吸収する白菜を加え、3~4時間じっくりと燉煮する。調味料は一切加えず、素材の持つ力を融合させる。
メインは6つの中から4つ選ぶ。カモ料理「師父樟茶鴨」は、「淮揚料理の精緻な技法を体現する一皿」とされる象徴的存在。豚の角煮「外婆紅燒肉」は、家庭的な温かみと淮揚料理の技法を兼ね備えた。五花●(豚バラ肉)を厚切りにし、まず炒めて香りを引き出すことで、豚肉特有の匂いを取り除き、余分な油脂や雑味を分離させる。ウナギを使う炒め物「清炒●糊」は、精緻な火加減と熟練の炒功を駆使し、タウナギ肉を上湯・老抽・蠣油と共に炒めたり、エビ料理「乾燒丸子明蝦球」は、揚げたおこげに高温で焼いたエビとソースを絡ませ食感を楽しむ。
最後に外はふんわり、中は甘い豆沙餡が詰まった揚げ菓子「高力豆沙」か8種類の具材(ナツメ、ハスの実、クルミ、松の実、干し果物など)を彩りよく組み合わせ、もち米で仕上げた「香煎八寶飯」のいずれかを選ぶ。
さらに、季節であるカニ粉料理を1人88香港ドルで注文できるほか、豆腐にカニ粉を合わせた濃厚な一品「蟹粉豆腐」、鶏スープとカニ粉を包み込んだユニークな塩味湯圓「蟹粉湯圓」、カニ粉と濃厚スープを絡めた上海風●麺「蟹粉●麺」(以上88香港ドル)などを用意した。
営業時間は、ランチ=11時~14時30分、ディナー=18時~22時。1月31日まで。
●=火へんに考、●= 、●=月へんに南、●=魚に善、●=火へんに會