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香港でネオンサインの展示企画「璀璨霓虹」 実物看板展示で没入感演出

修復された実物のネオンサインが多数展示されている

修復された実物のネオンサインが多数展示されている

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 香港のネオン文化を再解釈する大型展示企画「璀璨霓虹Luminous Neon」が現在、深水●の香港デザインセンター「DX design hub」(HKDC、5/F, DX Design Hub, 280 Tung Chau Street, Sham Shui Po, Kowloon TEL 3793 8413)で開催されている。

ネオンの曲線や揺らめきを鑑賞できる幻想的な展示空間

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 DX design hubは2024年に開設されたばかりの新拠点で、若手デザイナー育成や地域連携を目的とした施設。「Luminous Neon」は、深水●から香港のデザイン文化を世界へ発信するという同施設の理念を象徴するプロジェクトとなった。

 同展は、国際的な舞台装置制作会社「Serious Staging」、ネオン保存団体「Tetra Neon Exchange(TNX)」との共同企画で、香港の都市景観を象徴してきたネオン看板を、文化遺産として再評価する試みとなる。近年、香港のネオン文化は海外でも注目が集まり、海外写真家によるネオン写真集の出版、Netflix作品での象徴的な使用、海外美術館でのネオンアート展示など、国際的な評価が高まっている。

 歴史をひもとくと、香港のネオンサインは20世紀初頭にパリ万国博覧会で初めて公開されたと言われている。当時イギリス領だった香港や上海の外国人居留地区に伝わり、1920年代には、多くの建物にさまざまな種類のネオンサインを設置し始め、創造力に富んだカラフルな光の影で楽しむようになった。さらに、1990年代は、香港映画産業の全盛期でもあり、香港では発光するものといえば、ネオンが使われていたこともあいまって、看板をはじめ、舞台照明など、多くのエンターテインメント界でもネオンが活躍。香港人も海外の人も、映画を通じて香港の美しい街の景色やネオンサインを知る機会ができ、香港のネオン看板は1950~80年代に最盛期を迎え、街の夜景を形づくる重要な文化資産となった。

 しかし、2010年に建築などに関する新しい法律が制定され、規制も増え、この10年で9割のネオンサインがなくなったと言われている。新たなネオンサインの設置には、建築士による図面作成と、5年ごとの定期検査が必要になった。これにより店側の責任とコストが増大し、路上のネオンサインは姿を消しつつある。同展は、こうした状況を背景に、ネオンは単なる看板ではなく、香港の都市記憶そのものだという視点から企画された。

 展示には、修復された実物のネオンサインが多数並ぶ。「金鳳茶餐廳」「太平館餐廳」「南昌押」「達昌眼鏡」など、歴史的価値の高い看板が並び、ガラス管を手で曲げ、火で焼き、ガスを封入する高度な職人技を紹介する。展示空間ではネオン管の曲線や光の揺らぎが際立つよう照明が調整され、来場者は「光の彫刻」としてネオンを鑑賞できる。

 別フロアではThe Light Within The Light Withoutと題し、7分間のループ映像を4章構成で展開。映像で職人とその技の物語を紡ぎ、消えゆく看板の瞬間を捉えた没入体験も提供する。

 単にネオンを並べるだけでなく、職人の手仕事と都市文化の物語を同時に見せる構成が同展の特徴。ガラス管を曲げる工程を撮影した映像、職人のインタビュー、看板が街で使われていた当時の写真などを展示し、ネオンがどのように街の生活と結びついていたかを体系的に理解できるようにした。TNXは近年、撤去されるネオン看板を収集・修復し、文化遺産として保存する活動を続けており、今回の展示はその成果を一般に公開する貴重な機会となる。

 展示では、ワークショップやトークイベントも開催し、市民がネオン文化の保存や活用について議論できる場も設ける。ミニネオン制作体験、職人によるデモンストレーション、都市文化研究者による講座、若手デザイナーとの対話セッションなど、ネオンを過去の遺物ではなく未来のデザイン資源としてどう生かすかを考える内容に仕上げた。

 開館時間は11時~19時。火曜休館(祝日の場合は開館)。入館無料。3月31日まで(The Light Within The Light Withoutは2月9日まで)。

 ●=土へんに歩。

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