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香港政府が財政予算案発表  4年ぶり黒字転換、市民・企業への支援充実へ

来年度も財政黒字が見込まれる香港

来年度も財政黒字が見込まれる香港

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 陳茂波(Paul Chan)財政長官が2月25日、2026-27年度の財政予算案を発表した。前年度に引き続き、AIを重要産業と位置付け、予算配分を重点的に行うほか、市民と企業に対する支援策を拡大する。経済が回復したことを受け2025-26年度は当初670億香港ドルの赤字を見込んでいたが29億香港ドルの財政黒字になると見られる。さらに2026-27年度は、221億香港ドルと財政黒字幅が拡大するとした。

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 2025年は世界情勢の不確実性があったが、米中貿易協議による関税措置の緩和、「北上消費」は依然としてあるものの内需が回復したことで、通年で1.7%増になったこと、株式市況が好調であることから3.5%の経済成長だった。その結果、670億香港ドルの赤字予算だったが29香港ドルの黒字となる見込み。黒字となるのは2021-22年度以来4年ぶりのことで、2026‐27年度は黒字額が221億香港ドルまで拡大するとしている。財政備蓄は2026年3月31日の時点で6,572億香港ドルを見込む。 

 2026年は、世界情勢は不安定が続くものの、世界経済は拡大基調であること、AIへの投資とそれに関連する産品の需要の高まり、内需回復と香港を訪れる観光客も好調であると見込み、2.5~3.5%の経済成長を予想している。

 2026-27年度の総歳入は7,652億香港ドルで、支出は8,434億香港ドル。支出超過であることから、2026-27年度~2030-31年度の間は毎年1,600億香港ドルから2,200億香港ドルを発行して穴埋めする。

 歳出を分野別に見ると、社会福利=1,359億香港ドル(シェア21.7%)、衛生=1,119億香港ドル(同19.0%)、教育=1,023億香港ドル(同16.4%)で、社会福利が支出額でトップになったほか、教育がインフラ整備に変わりトップ3にランクインした。

 そのほか、各種サポート=813億香港ドル、保安=605億香港ドル、インフラ整備=350億香港ドル、環境・食物=267億香港ドル、経済=229億香港ドル、住宅=226億香港ドル、社区と対外事務=189億香港ドルなど。

 香港政府は昨年度から、より強い経済体制を構築するためAIに力を入れてきたが、本年度もAIに力を入れる。そのため、「AI+與産業発展策略委員会(AI+ and Industry Development Strategy)」を設置し、戦略的にAI産業の振興を図る。これを達成するため、科学技術関連企業、大学、各種AI講座などを対象に5,000万香港ドルを投入して、市民全体のAIリテラシーを向上させる方策を取る。

 金融ではステーブルコインを推進していくが、ライセンス制度採用し、2026年3月に第1弾のライセンスを発行する予定。これを受けて政府と金融監督機関は、コンプライアンスやリスク管理を徹底するための地慣らしをしていくとする。

 香港政府はプロムナードの建設を推進しており、2025年12月に堅尼地城(Kennedy Town)から●箕湾(Shau Kei Wan)までの全長13キロのプロムナードが完成した。さらに充実させるため、堅尼地城のプロムナードに新たな歩行者専用道路の建設を計画。第2四半期に、詳細について協議する。併せて、啓徳体育館(Kai Tak Sports Park)での大型スポーツ大会やコンサートの誘致を継続して行うことも決めた。観光推進のために香港政府観光局(HKTB)には16億6,000万香港ドルの予算を付けた。

 新エネルギーに転換するためにEVのバス、タクシーに関する補助金を計上してきたが、電気の商用車、電動バイク、電動三輪車の初回登録税は2028年3月まで全額免除する。

 所得税は、上限を3,000香港ドルとして予定納税額の100%を減免する。前年度は1,500香港ドル、2年前は3,000香港ドルだったことから元に戻った形だ。基礎控除と1人親控除13万2,000香港ドルから14万5,000香港ドルに、配偶者控除は26万4,000香港ドルから29万香港ドルに、子女控除と追加の子女控除は13万香港ドルから14万香港ドルに、それぞれ引き上げる。

 法人では、事業所得税は、上限が個人所得税と同じ3,000香港ドルを上限に100%免除。香港政府に支払う土地のレーツについては、住宅用、非住宅用共に第1四半期と第2四半期は、1戸当たり上限を500香港ドルとして減免する。

 土地は、空室率が高まっていることから2025-26年度から1年間は政府が保有する土地について商業用としては競売を行わないことにしたが、2026-27年度も継続する。公営住宅は、次の5年で19万6,000戸を供給する予定しているほか、民間住宅もこの先5年間で、1年平均1万7,000戸の住宅が完成することになっている。一方、投機対策として、1億香港ドル以上の住宅不動産取引に対する印紙税率を4.25%から6.5%に引き上げる。

 また、大埔(Tai Po)の火災を受け40億香港ドルを投入して住民を支援するほか、住宅に関連してエレベーターの改修用の補助金向けに10億香港ドルを計上した。

 ●=竹かんむりに肖。

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