フランス料理界を代表するダニエル・ブルー(Daniel Boulud)シェフによるフレンチブラッスリー「Terrace Boulud」(Prince's Building 25th Floor 10 Chater Road Central)が3月10日、香港・中環のプリンスビルディングの25階屋上にオープンした。
かつて日本人にも人気があった「SEVVA」跡に、ブルーシェフがマンダリンオリエンタル香港と共同で立ち上げたもので、テラス席からは香港の金融街からの景色を楽しむことができる。フランスのブラッスリー文化と香港のダイニングシーンを融合させる同店は、マンダリンオリエンタル香港が、ホテル外に初めて展開する新たなダイニングコンセプトとしても注目を集める。しっかりとした食事にも、アフタヌンティーにも食事後のバー利用としても使うことができ、用途に応じた利用ができる。
ブルーシェフはリヨン近郊で育ち、ニューヨークを拠点に世界的なレストラングループを築き上げた人物。ミシュラン星付きレストランを複数経営し、ジェームズ・ビアード賞をはじめ数々の賞を受賞してきた。40年以上にわたりフランス料理の伝統を現代的に再解釈し続けてきたが、香港で本格的なブラッスリー文化を手がけるのは今回が初めてとなる。
「文化と文化が対話する場所にこそ、新しい料理が生まれる」と語るブルーシェフにとって、香港は理想的な舞台だという。同店では、その料理哲学を象徴する4つの「ミューズ」を軸にメニューを構成した。「La Tradition(伝統)」「La Saison(季節)」「Le Potager(野菜)」「Le Voyage(旅)」のテーマを設け、フランス料理の基盤、旬の食材への敬意、野菜の魅力、世界各地の食文化から得たインスピレーションを表現するという。
さらに香港を「第5のミューズ」と位置づけ、フランス料理と広東料理の技法をかけ合わせた「DB x MO Dim Sum」も提供する。例えば、香港の海老(えび)餃子(ギョーザ)にショウガとネギのXOソースを合わせた点心、リヨンの豚足とトリュフを使ったスープ餃子、ニューヨークのパストラミを包んだバオなど、3都市の食文化を一皿に凝縮した創作点心(3個128香港ドル~)もそろえる。
メニュー全体では、パテ・アン・クルート(248香港ドル)、ヴォロヴァン(388香港ドル)、ローストチキン(398香港ドル)、シーフードなど、ブラッスリーの王道料理が軸となる。素材の持ち味を最大限に引き出す調理法を重視し、季節感とクラシックのバランスを取った構成を特徴とする。屋内ではよりダイニングを重視し、テラスではスナックメニューなども気軽にオーダーできるようにする。
香港店の厨房を率いるのは、エグゼクティブシェフのオレリー・アルトメール(Aurelie Altemaire)シェフ。パリの3つ星レストラン「エピキュール(Epicure)」やロンドンのジョエル・ロブション(Joel Robuchon)で経験を積み、ブルーシェフと密に連携しながら香港店の料理を監修する。
料理と並び、大きな柱となるのが飲料プログラム。フランスのワイン文化を基盤にしつつ、現代的なミクソロジーを取り入れ、昼夜を通して楽しめる構成にした。ワインリストは300種類以上をそろえ、特にシャンパーニュを中心に据える。グラスワインをマグナムボトルから提供するなどの工夫も凝らす。カクテルはアジアの素材や季節のフルーツを取り入れ、香港の個性を反映した。
店舗デザインはパリのデザイン会社 Malherbe Paris が手がけ、ブルーシェフの「旅路」と「黄金時代の旅」をテーマに空間を構築した。エントランスからバー、ダイニング、屋上テラスへと連続する空間は、「動く列車の窓を思わせように」デジタルアートで彩り、中央にはグリーンオニキスのバーカウンターを象徴的な意味合いで設置した。
テラスと中央のバーは、ランチ、アフタヌーンティー、アペリティフ、ディナーと時間帯ごとに表情を変え、夜にはDJやライブパフォーマンスが加わり、香港のスカイラインとともににぎわいを生み出す。マンダリンオリエンタル香港のゼネラルマネジャー、ポール・ジャクソン(Paul Jackson)さんは「Terrace Bouludは、ビジネス、文化、祝宴が自然に交わる香港の社会的リズムを体現する場所になるだろう」と意気込む。
営業時間はソフトオープン(3月)はドリンク=15時~深夜、ディナー=18時~22時。グランドオープン以降はランチ=12時~14時、アフタヌンティー=15時~17時、ディナー=18時~22時、ドリンク=11時~23時となる。