6月に香港・尖沙咀(Shop C&D,G/F,Chevalier House,45-51 Chatham Road South,Tsim Sha Tsui)に進出したシンガポールの定番朝食「カヤトースト」の店「ヤクン・カヤトースト」で、常に店外に客が並ぶ混雑状況が続いている。
「ヤクン・カヤトースト」は創業70年を迎える老舗。開店から1ヶ月が過ぎた今でも、ランチタイムに料理が売り切れたり、夜10時になっても満席に近い状態が続いたりなどして、1000瓶を用意した自家製のカヤジャム(290グラム/45香港ドル)の在庫もすでに完売してしまったという。
「シンガポールにあるヤクンには、軽食だけを提供するカフェと麺料理なども注文できるファミリーカフェと二つのタイプがある。香港人はシンガポール人ほど辛い料理を好まないので、香港店ではファミリーカフェのメニューに、香港店限定のメニューを導入し、なるべくたくさんの選択肢を用意し、朝食から夕食まで利用できるようにした」とマネジャーのミッシェル・チャンさん。ミッシェルさんは、香港店の設立から運営、マーケティングまでを担当している。ミッシェルのさんの会社がシンガポールで、ヤクンのフランチャイズ店を経営していることから、ヤクン本社に香港でのフランチャイズ店事業を依頼されたという。
できるだけ本場に近いサービスやグルメを提供しようと、シンガポールから5~6人のスタッフが駆け付け、香港店の従業員研修などをサポートしていた。トーストに使うブラウンパンやラクサの麺、甘みのある特製しょう油は、香港の工場でシンガポール並みのクオリティを守って製造している。コーヒー豆やミルクティーを作るティーリーフや企業秘密とされるレシピで作られたカヤジャムは、シンガポールから直送されている。
目玉のカヤトーストやコーヒー、ミルクティーのほかに、シンガポールの代表的な料理「チキンライス(新加坡鶏肉飯)」(48香港ドル)やビーフボール入り平たい麺を使うヌードル「牛肉丸河粉」(40香港ドル)など、香港店の限定メニューも。チキンライスを作るために煮込んだスープを河粉のスープにするなど、一見香港風の料理に見える河粉でも実際は風味が違うという。今年シンガポールで始まった新メニューの「ヤクン蒸しパン」(亞坤蒸面包)(18香港ドル)は香港店でも採用。カヤジャムとバターを挟んだ厚みのある白パンを一晩冷蔵庫の中で冷やしておき、提供する前に蒸して揚げることで、ふんわりとした食感で定番のカヤトーストと異なる風味に仕上げた。
11月には沙田で2店目を開店することが決まり、今後はテークアウトだけのカウンターの店も視野を入れ、香港にヤクンの店舗数を増やしていく予定という。
営業時間は7時30分~23時。