見る・遊ぶ

香港文化博物館で椅子テーマの企画展-世界の椅子100点超、各国の歴史を紐解く

英国ヴィクトリア女王が使用した椅子も展示(写真:LCSDより提供)

英国ヴィクトリア女王が使用した椅子も展示(写真:LCSDより提供)

  • 0

  •  

 沙田の香港文化博物館(1 Man Lam Rd, Sha Tin)で現在、さまざまな時代の世界各国所蔵の椅子を100以上集め、椅子を通して各国の歴史を紐解く企画展「卓椅非凡(The Extraordinary in the Ordinary: Chairs for Viewing the World through Time)」が開催されている。香港康楽及文化事務署(LCSD)と故宮博物館、香港文化博物館の共催。

特色ある椅子が並ぶ会場の様子

[広告]

 会場は薄暗い照明を施し、椅子にスポットライトを当てて展示。椅子の展示だけでなく、当時の歴史的な背景についての解説、また絵画の中で描かれた椅子などの作品を組み合わせて展示することで、来場者に深い興味を持たせる工夫をしている。

 故宮博物館、大英博物館、ニューヨークのメトロポリタン美術館など世界中の権威ある美術館を含む12の美術館が協力し実現した同展は、皇帝が使用したという格調高い椅子から、平民が生活の知恵を振り絞った生活密着型の物まで幅広く紹介する。食べ物や着る物と同じように日々使用する椅子は、時として権力と地位を示す象徴として語られることも多く、また民族ごとの習慣や知恵が見られたり、西洋と東洋が、政治、経済、文化的な交流を図ってきたことを物語ることもある。

 ツタンカーメンの墓でも同じようなモデルが発見されている古代エジプト時代に使用されたとみられる格子組みの背もたれや肘掛けのない簡単な椅子の時代までさかのぼる。16世紀フランスの貴族や限られた裕福な家庭で流行した、座面を手前に広がる様な台形にすることでスカートの膨らんだドレスでも快適に座れるようにデザインした「カクトワール」や清の康熙帝が自ら捉えたトナカイや鹿の角を使って作られたといわれ、17世紀のものでありながらもモダンな佇(たたず)まいで設置される「鹿角椅」など。

 日本については、畳文化を紹介するほか、江戸時代の浮世絵師・歌川国芳が描き、前後を人が担いで中央部分に座る場所がとられた駕籠(かご)が描かれた作品が椅子の位置づけとして紹介されている。ほかにも、英国ヴィクトリア女王が避暑地のスコットランドのエディンバラにあるホリールード宮殿で使用したとされるエンジ色に黄金色の派手なゴシック文様が施された椅子も、厳重に保護された状態で展示する。

 開催時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。火曜休館。入場料は、大人=20香港ドル、子ども=10香港ドル(水曜日は半額)。開催中の「スタジオジブリレイアウト展」と共通チケットは大人=30香港ドル、子ども=15香港ドル。会期は9月15日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース