尖沙咀にある香港歴史博物館で現在、特別展示「皇村瑰宝:俄羅斯宮廷文物展(Tresures from Tsarskoye Selo, Residence of Russian Monarchs Exbition)」が開催されている。
会場には本物と同じ大きさのエカテリーナ宮殿(Catherine Palace)の「琥珀の間(the Amber Room)」も再現
2011年に、ロシアと香港の政府間で文化的協力に関して合意があり、準備期間に約3年、香港におけるロシアの文化財の展示会としては過去最大規模で、世界遺産にも登録されているサンクトペテルブルク郊外にある「ツァールスコエ・セロー(中国語:皇村)」をテーマにした企画展だ。
ロマノフ朝は、1613年にロマノフ家のミハイル・ロマノフがロシア皇帝であるツァーリに即位したのが始まり。ピョートル大帝が即位するとロシアの帝国化と近代化が押し進められ、領土はヨーロッパから極東沿海州まで及んだ帝国。その後、ロマノフ家は断絶の危機に遭いながらも権力集約化による絶対君主化されていき、帝国は積極的な対外進出を押し進めた。20世紀になると日露戦争や第一次世界大戦参加による国民生活の疲弊から、求心力を失い、1917年ロシア革命で帝国の崩壊ととも終焉(しゅうえん)。そのロマノフ朝の誕生から20世紀にロシア帝国の君主制が終焉するまでの歴史や文化について、歴代皇帝ごとに年表なども用いながら紹介する。
会場はロシアの宮殿内をイメージしたデザインで演出し、そこにロマノフ朝の皇帝ら皇族が実際に使っていた画像、服飾、磁器、武器、芸術品など約200品以上を展示する。いずれもサンクトペテルブルクのツァールスコエ・セロー州立博物館から貸し出された所蔵品で、清朝最後の皇帝・溥儀から贈られた花瓶やピョートル大帝の肖像画、皇女が着用したドレスなど貴重な品々を展示している。時代を感じさせるものでありながら、模様や刺しゅう一つにまで細かい細工が施されている。
会場入り口付近に設置されたメーンの展示品は、海外の展覧会に初めて貸し出されたというロシア君主専用馬車。1856年にモスクワで行われたアレクサンドル2世の戴冠式などで使われたもので、馬具だけで部品は85件に及ぶ。部品を全て使って再現し展示するのは今回が100年ぶりのことだという。
香港フィルハーモニー管弦楽団がロシアの音楽を演奏するプログラムも12月28日、博物館1階ロビーで開催予定。
入場料は一般20ドル。2015年3月16日まで。